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平砂トンネルアート化プロジェクト

「アートトンネル」プロデュース/平砂トンネルアート化事業部(平トン事業部)

担当教員:渡和由(筑波大学助教授)
 筑波大学に近接し、通学路の一部にもなっている通称「平砂トンネル」は市道であるが、もともとうす暗く、落書きが絶えない陰湿な空間として、特に女子学生の間では「夜に通りたくないところ」として知られていた。少しでも犯罪抑止につながればという意図もあり、トンネルの壁、天井に絵を描き「アート化」することを行なった。 このプロジェクトは、日本画・洋画を専攻する学生を中心として行なわれため、当初、自分一人だけの作品であるキャンバスとトンネルの違いに戸惑いが見られた。大人数で大空間を仕上げていくことへの難しさが先行していたようだが、最終的には、その楽しさとやり遂げた充実感を得たようだった。 参加した学生からは「もう少し時間があれば(もっとよい作品となったのに)」という意見もあったが、スケジュールや予算、天候等の限られた条件で、いかに最大のパフォーマンスをして結果を出すかが、この事業部の使命だったとすれば、それは十分に達成できたように思う。ただし、取組みの時期的な問題もあり、例えば利用者を巻き込んだワークショップを開催できなかった等、事業部の外との関わりが不十分であったことが残念でならない。 それでも、これまで足早に走り抜けていた「暗くて怖い」トンネルは、明るい色彩で学生生活の四季が表現され、通るのが楽しみなトンネルへと変貌し、通行する利用者達に安心感を与えることができたように思う。参加した「画家の卵」である学生達にとって、この経験が財産となり、自身の今後の作品制作や活動に何らかの良い影響を与えることを期待している。
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