デュエイン・ハンソンは、実際のモデルによる人間から型を取り、その型にポリ酢酸ビニルを注型しています。型に流し込む前に微量の油絵具とパラフィンワックスを混ぜ合わせて内部着色をしています。これを型に流し込み成形しています。ポリ酢酸ビニルは、無色の液体であり、一般的な使用素材として主にボンド等の接着剤として利用されています。ボンドは硬化すると白く濁るが、ハンソンの作品も硬化後、白く濁った皮膜が形成されます。UP樹脂の透明感と比べると透明度に劣ります。同時にポリ酢酸ビニルの濁りにより着色剤の発色性も奪われます。
ハンソンが作家として活動していた60年代は、立体造形における素材の開発や技術は、今よりもまだ発展途上だったと考えられます。このため、ハンソンはFRP、ポリ酢酸ビニル、ブロンズ等の様々な素材を多用し、技術と表現に磨きをかけて現在の立体造形表現に繋げてきました。様々な素材を使用しながらもハンソンの技術は高く、作品にインパクトを持たせています。