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このサイトは、科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金)基盤研究(C)による研究成果を掲載しております。

本研究は、2020年度から2024年まで「ポリエステル樹脂製立体造形表現による肌の質感研究 ー油絵具を着色剤としてー」を題材に筑波大学芸術系総合造形領域の小野が研究代表者として進めております。
小野は、不飽和ポリエステル樹脂素材に生きているような立体造形を作り出すため、独自の着色剤として不飽和ポリエステル樹脂に油絵具を混合させて芸術作品として展開しております。油絵具の着色剤がもたらす効果は、透明感を持たせた現実的な肌質が得られ、小野が想像する人体や動物等の肌理の特徴を表現できると考えます。工業用の樹脂専用着色トナーは発色が良く、小野が理想とする視覚効果が得られません。本研究では、不飽和ポリエステル樹脂と油絵具が混合可能な素材であることを明らかとするため、実験と調査、実践を行っています。本研究の課題である不飽和ポリエステル樹脂と油絵具が混合可能な素材であることを明らかにするには、油絵具と樹脂専用着色トナーの組成を比較しました。そして、小野によるこれまでの実験では、混合できる油絵具と分離して混合できない油絵具とに分かれていました。このため、不飽和ポリエステル樹脂と油絵具の混合適正を調査し、樹脂専用着色トナーより油絵具による着色が肌の質感を表現するのに適していることを明らかにしていきたいと考えています。また、「内部着色」としての着色剤 の効果およびに樹脂と油絵具の混合適正を解明していきたいと思います。
この成果の意義として、現代アートで一般化された1970年以降のミクスト・メディアにおける新たな異種素材の立体造形を獲得出来ると考えます。科学研究費助成金によって素材研究や造形論を探り、論文や学会等で発表したいと思います。また、本研究のワークショップや立体造形による展覧会を通じて社会へ還元していくことを予定しています。