令和3年度 筑波大学芸術専門学群 卒業制作展

2022年2月8日より茨城県つくば美術館で開催された「令和3年度 筑波大学芸術専門学群 卒業制作展(後期日程)」にて、

構成領域の学群4年生5名が出展しました。

 

打越 結衣 「Polka-dot 21-4」

H1455mm × W2273mm × D90mm

木製パネル、ペンキ、丸棒、ジェッソ、アクリルガッシュ、低反射塗料

《木製の丸棒の断面を15 度、30 度、45 度にカットして低反射塗料で黒く塗り、ランダムに回転させてパネルに接着した作品。塗料の効果で陰影が消えることによって円柱の立体感は失われ、平面的なシルエットが強調される。これらのシルエットは鑑賞者の視点移動に伴って見え方が徐々に変化する。また丸棒をランダムな向きに配置することで、作品全体の見え方の変化は多様になっている。》

 

井上 史央里「RED ‒ IBARAKI ‒」

H3000mm × W3000mm

EPSON MC 画材用紙ロール、木材、クリップ

《鳥が羽ばたくように線を走らせた。その赤は我々に警鐘を鳴らす。》

 

仲吉 沙耶香「拡張」

Blender STYLY( 使用ソフトウェア)

《昨今の社会情勢の影響により、人と対面せずに双方向的な体験ができるVR 技術を用いたメディア作品が注目されています。現在では具象的なモチーフを用いた作品が多いですが、抽象的な幾何学形態の平面構成や立体構成作品をVR 空間上に展示することで、新たな芸術鑑賞体験を提供することが可能ではないかと考えました。本制作では今まで制作してきた平面構成や立体構成の知識をもとにVR 作品を制作しました。VR 空間では自分の部屋のスペース、材料費、天候などに囚われず、作品を自由に制作、配置することができます。現実では作れそうにない巨大なものから奇想天外なものまで制作の幅が広がります。また、VR 空間だけでなく現実世界での作品制作のシミュレーションを行うことも可能になります。VR 技術は今後の芸術作品の制作において重要になっていくと考えています。》

 

児玉 稀乃「凹凸」

H45cm × W45cm × D7cm (6点)

木、スチレンボード、アクリルガッシュ、スプレー塗料、ターンテーブル

《回転によってクレーター錯視の効果を強調した作品。凹凸が逆転して見える現象を、純粋に楽しむ。》

 

丸田 光希「Annual」

H100cm × W140cm × D5cm

刺繍糸、木製パネル

《時間の感じ方は国や文化、そして個人間でそれぞれ異なります。私たちは他人のそれを一瞬垣間見ることはできても、完全に体験することは叶いません。本作品は彩り豊かな刺繍糸による24 本の三つ編みから成っています。左から右に向かって、1 月から12 月までの二十四節気を色彩の変化として表現しました。また上から下に向かっては1 日の時間経過と昼夜の長さを明暗の変化として見ることができます。本作品で使用した色は、四季折々の自然や文化を基調としながらも、作者個人の感覚に基づき主観的に選ばれています。作品を通じ、「作者の時間」に触れることで、人の数だけ見え方がある「時間」「自分の時間」に思いを馳せるきっかけになれば幸いです。》

 

【会期】後期日程 (2022 年2 月15 日 – 2 月20 日)

【会場】茨城県つくば美術館

 

KUMA EXHIBITION2022

「KUMA EXHIBITION2022」に中山佳保子(博士前期2年)が出品しました。

 

「KUMA EXHIBITION2022」は公益財団法人クマ財団クリエイター奨学金制度第5期生の成果展です。感染症対策のため2会期に分けて開催され、part.01の日程に出品しました。

 

 

【会期】2022年3月18日(金)-27日(日)

【会場】ANB Tokyo(六本木)

筑波大学 卒業・修了制作展2022

筑波大学人間総合科学学術院 人間総合科学研究群 芸術学学位プログラム修了制作展(後期)に構成領域の学生3名が出品しました。

 

 

 

小形麻依「sterical lines 2201 -compressed and twist-2021年制作 ABS樹脂、鉄、木材、塗料 200×60×60cm(8点組作品)

 

中山佳保子「poly bag fauna」2021年制作 石膏 サイズ可変

 

八重樫響「Sink-Marks」2021年制作角材,パラフィンワックス、マイクロワックス、キャンドル用着色剤 (6点組作品)

 

【会期】2022年3月1日(月)-3月6日(日)

【会場】茨城県つくば美術館

【新設授業ご紹介】プリントデザイン のための実践演習(製版・プリント・講評編)

2021年度から開講されたプリントデザインを制作する演習授業のご紹介・後編となる本記事では、ドローイングを元にパターン構成を仕上げた後の、シルクスクリーン方式でプリントデザインを起こす過程からご紹介します。シルクスクリーンは孔版形式の代表的なプリント手法であり、表現したい図案以外の部分を乳剤で固めた版を作成(製版) した後、刷りで孔部からインクが通過し転写されます。

製版


まず、1 リピート分の図案を透明フィルムに出力(あるいは遮光性の画材で直接描画) し、版下とします。

シルクスクリーン版には水性の感光乳剤を塗布し、乾燥させます。

そして感光機に版枠と作成したフィルムを重ねてセットし、紫外線を照射した後に洗浄を行い、製版は完了します。

 

プリント


プリント作業では、黒色の顔料を用いた一色刷りで、4mほどのリピート柄を捺染しました。

まずは捺染台に布生地を張り、リピートを測るための器具を取付けた版をセットし、等間隔にプリントしていきます。

そして大判のスキージで全体を刷り上げていき、版は速やかに洗浄します。

一連の作業を学生間で協力し合いながら、全員のプリント作業を無事に完了しました。

 

最終講評


最終講評会では、6A203 及び208 にて全員の作品を展示形式で一堂に並べ、各自プレゼンテーションを行いました。

それぞれのプリント生地は皆違った魅力や世界観を繰り広げ、壮観な空間が生まれました。

これらの生地は、ファブリックパネルやクッションカバーなど、さらに新たな形へと展開することができます。大判プリントデザインを制作する授業は初年度であり大変な部分もありましたが、皆が各工程で協力し合うことで実現できました。ドローイングからパターンを構成し、さらにデザインとして形にすることは、道のり長く大変難しくもありましたが、達成感の大きさもその分得られます。総じて、非常に学び多き授業となりました。

[構成領域3年 R.O.]

 

(前半記事「ドローイング編」はこちら :https://www.geijutsu.tsukuba.ac.jp/kosei/5073/)

 

担当教員:大友邦子

授業名:実験造形演習

(2022年度以降「平面構成総合演習」+「プリントデザイン演習」(春学期)での開講内容となります。)

【新設授業ご紹介】プリントデザインのための実践演習 ( ドローイング編 )

2021年度から、構成領域では大判のプリントパターンを制作する演習を開講しました。

第1段階は各自で選択したモチーフのドローイングを重ね、これを元にパターンデザイン ( 柄 ) を制作します。第2段階ではシルクスクリーン版を制作し、綿の生地に顔料で捺染しました。本記事では、初めに第1段階までの様子をご紹介します。

学生はそれぞれ多種多様なモチーフを選択し、デジタル・アナログ問わず自由な画材や手法で表現します。一人ひとりが描き出す線の表情は十人十色で、制作スタイルの意外な一面が垣間見られる瞬間もありました。モチーフの独自の特徴と図案としての魅力を両立するドローイング (= デザインに展開されるための下図)を目指し、時間をかけて手法やサイズを変えて描いていきます。

 

続いて、ドローイングで生まれた素材を用いて、パターンデザインを組みます。1 リピート約60cm×90cm の大判サイズを基準とし、切り貼りやPhotoshop( 画像編集ツール) などを活用しながら、図案が繰り返された「柄」となるように構成していきます。実寸を想定しながら調整することで、実物の迫力やリズムの体感を掴むことができます。

 

パターンデザインを仕上げた後は、実際にプリントするための作業に入ります。

(続きの工程紹介は「製版・プリント・講評編」へ:https://www.geijutsu.tsukuba.ac.jp/kosei/5069/)

 

担当教員:大友邦子

授業名:実験造形演習

 2022年度以降「平面構成総合演習」+「プリントデザイン演習」(春学期)での開講内容となります