作者生没:1922 名古屋(愛知)- 2005 阿久比(愛知)
制作年:1963年
技法材質:グアッシュ、紙
寸法:65.1 x 53.0 cm
署名:右下に署名・年記「1963.11 勇夫」
所蔵番号:2010-JD-IS006

作品解説:

水谷勇夫は絵画制作を通して、生や死、エロスなど生々しい人間の本能を凝視した。この姿勢の起点には、第二次大戦の出征中に中国で屍体の山と巨大な石仏を同時に見た体験がある。自信の回想によれば、その体験をもって「人間内部と外部のこの矛盾と悪性を探るために、試行錯誤を繰返し人間を描くこと」になったという。《女No.6》や《女No.11》が描かれた1960年代前半、水谷は荒い筆致で画面全体を塗り込んだのち、女性器を連想させる眼や歯、指などの部位を断片的に加えていった。画面の左上にある瞳は、絵を観る者を燃えるように見つめ返し、ところどころに描かれた異形の足指は不気味な存在感を放っている。縫合跡のような線は、皮膚の切り傷を表す。自身が語ったところでは、幾重にも重ねて塗られた赤には、血肉と呪術を結びつける色として、特に惹き付けられていたという。