2022年7月7日〜7月24日にEARTH+GALLERYで開催された、本学の修了生大井真希さんの個展「流動するかたち」。

7月9日にはオープニングイベントとして、大井真希さん、造形作家 齋藤敏寿先生(筑波大学芸術系 准教授)、造形作家 塩谷良太先生(多摩美術大学美術学部 工芸学科非常勤講師、ちょうど工房代表)、山中周子氏(キュレーター)によるアーティストトークが行われました。

大井さんにとって塩谷良太先生は大学生時代に、齋藤敏寿先生は大学院生時代にお世話になった先生です。

大井さんの故郷である富山県八尾町には、おわら風の盆という、和楽器の音色と唄に合わせて踊り手たちが情緒豊かに踊り歩くお祭りがあります。ゆったりとした美しい所作が特徴的な踊りが幼い頃から染み付いており、その動きが作品の形に繋がっているのではないかと考えながら制作されているそうです。

学生時代の思い出、論文の話、制作の話など普段は聞けない貴重なお話を聞くことが出来ました!

大井さんは作品を作る前に紙にドローイングを描くことはしないそうです。しかしながら、ドローイングは紙に描くだけとは限りません。壁に展示されている「drawing in the shape」は、多摩美術大学にいた頃の「描く立体」という形をドローイングする課題のリベンジ作品だそうです。会場であるEARTH+GALLERYから引き取った炭を用いて制作されています。

会場にはオブジェだけでなく器も展示されています。齋藤先生曰く、器の形をなぞるのではなく内側の凹みに物を乗せると考えて、自由に造形の意識を持っていけると素敵な器になるだろうとのこと。器でもオブジェでも、作り手がジレンマを抱え格闘する中で形が出てくることが大事なのだそう。塩谷先生は、今しか作れない形があるから、オブジェと器は垣根なく作った方がいいと会場の方々に向けておっしゃっていました。

オープニングイベントに参加して、大井さんの作品がどのようなバックグラウンドをもって生み出されたのか・何を考えて作られたのかということの片鱗を知ることができました。それによって参加者たちはより深く大井さんの作品を鑑賞でき、個展を楽しめたことと思います。

また全体を通して、作り手としての在り方、自らの作品にどう向き合っていくかを考えさせられるアーティストトークでした。

レポート:ガラス4年 藤村美吹