日本サイエンス・ビジュアリゼーション研究会
イベント
2014年
出題:
和田洋

専門領域:
生命環境系/動物進化発生学

イラスト制作:
堀真実/福田くるみ/堀内遥加/
斉藤夢乃/西本千紘


メンデルの遺伝子:⾖のしわ(解説重視のイラスト)

目的:遺伝学の授業に用いるスライド
対象:大学生

問題

メンデルが、丸くしわのできない豆と、しわのできる豆の特徴で遺伝の法則を発見したことはよく知られています。また、一方で遺伝子がDNAにコードされていることも、もはや知らない人はいないでしょう。では、丸型としわ型では、DNAにどんなちがいがあるのでしょう?  その答えは、1990年になって明らかになりました。実は、しわ型の遺伝子は、糖鎖が分岐したアミロペクチンというデンプンの生成に関わる酵素をコードする遺伝子DNA領域に異常があることがわかりました。アミロペクチンを生成できないため、豆の中の単糖の濃度が上昇します。単糖の濃度が高いと豆の浸透圧が上昇して、水がたくさん豆に吸収されます。そのため、しわ型では水をたくさん含んだ豆ができてしまいます。その豆が、乾燥すると、豆からはたくさんの水が失われるため、しわ型になるのです。 メンデルの豆の特徴が、デンプンの生成に関わる酵素の性質の違いに起因していることを、イラストでわかりやすく示しなさい。遺伝の法則とデンプン生成遺伝子の両方がわかるように表現して欲しい。

評価のポイント

メンデルの遺伝の法則が、ある酵素をコードする遺伝子のDNA領域の違いに基づいていること、つまり、しわ型と丸型の違いがDNAの違いに基づいていることを、わかりやすく表現できるとよい。





幼形成熟ネオテニーによる進化(アート重視のイラスト)

目的:サイエンスカフェに用いるスライド
対象:大学生及び一般市民

問題

幼形成熟ネオテニーによる進化をイラストに描く

解説

生物には、個体の一生(発生)という時間と、進化という2つの時間が流れています。ときに、この2つの時間が交錯して、幼形成熟ネオテニーという進化が起こります。最もよく知られた例は、ウーパールーパーで、幼生の特徴をもったまま、大人(つまり性的に成熟して繁殖できる)になります。つまり個体の一生という時間が、長くなったり短くなったりして、進化が起こることもあります。実は、わたしたちヒトも、幼形成熟の賜物と考える研究者もいます。個体の一生という時間と、進化という時間をうまく表現しながら、幼形成熟ネオテニーによる進化をイラストに現してみましょう。

評価のポイント

個体の一生という時間と、進化という時間、2つの時間の交錯を2次元の平面の中に、うまく表現できているかを特に評価します。ウーパールーパーでも、ヒトでも、他の例でも、題材は問いません。