
筑波大学は、令和5年(2023)に創基151年、開学50周年の節目を迎えました。その淵源は、明治5年(1872)に東京・湯島聖堂内に創設された師範学校にあり、近代日本における教育制度の形成と深く関わる学統を受け継いでいます。 平成12年(2000)、筑波大学附属図書館において、狩野探幽および尚信による未公刊の屏風絵が確認されました。これを契機として開催された展覧会『筑波大学附属図書館所蔵日本美術の名品―石山寺一切経、狩野探幽・尚信の新出屏風絵と歴聖大儒像』では、江戸前期における儒教的文化の視覚表象に新たな視座がもたらされました。なかでも、館蔵の「賢聖障子図」とされていた下絵資料が、湯島聖堂大成殿内陣の壁画「賢儒図像」に掲げられていた扁額の模写であることが明らかとなり、絵画資料を通じた儒教受容の一端が可視化されました。 この成果を出発点として、筑波大学における研究グループは、科学研究費補助金等の外部資金を得て、新出資料の精緻な実地調査および技術的復元を含む総合的な研究に着手しました。さらに、儒教思想に基づいて制作された美術資料の思想的・図像学的分析を進め、関連する文献・典拠との比較研究を通じて、東アジア儒教文化圏における美術表現の特質を明らかにする試みを展開してきました。これまでに、国内外の学術誌への論文投稿、展覧会の企画・監修、国際会議での研究報告など、多角的な成果発信を行っております。 本ウェブサイトは、これら一連の研究活動とその成果を体系的に記録・公開することを目的とするものです。本プロジェクトが、儒教を中核とした東アジア文化の造形的展開に関する国際的な学術交流の触媒となり、分野横断的な研究基盤の形成に寄与することを願っております。