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10.美術の優秀性
A中学校の生徒の美術作品は、材料や道具の扱いが大変優れていることを示しており、外国の美術教師が日本の特徴であるとして期待している美術的な技術を高度に応用していた。B教諭は、「技術主義の教師」に対して大変批判的で、私は先生が教室で技術的な示範を行うところを一度もみたことがなかったので、どのようにして、生徒がこのような達成を果たせるのか解らない。一つの明解な答えとしては、生徒が始業前や授業中に熱心に使用している教科書があげられる。そして、私見ではあるが、より顕著なこととして、日本の応用美術、工芸の伝統的な優秀性があげられる。
このような伝統の継承は、そこに、創造性の源泉や意味についての古くからの考え方があることを暗示している(ホワイト,1987.p.80)。その一つに、作品よりも過程に優先権を与えることや親方の正確な模倣を目標とすることがある。
日本の美術教育者(大橋,1988)は、次のように説明している。すなわち、何かがなされる過程で、日本人の生活の美的特質が供給されているのである、そして、注意深く何かを行ったり、細部に強い注意を払うことが良き人格に帰されるのである。
ヘンドリー(1971)は、日本の子供の学習パターンや社会的関係は、習慣(単なるルールではなく)のなかで訓練を重視している儀式によって特徴づけられると述べている。小さい子供は、その一つ一つが大変重要で、著しく望ましいと考えられている物事の順を追って教わる。
その一例が、畳の上にきちんと座る正座である。何かを行う過程が、人格の秤と考えられ、そして、行為に絶対必要な態度は「専心すること」なのである。
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