Details
TITLE :
passage guide
CREATOR :
秋山 航平
AWARD :
楽天賞 受賞
About
書架に並ぶ不揃いな本の背面をモチーフにして作られたスクリーンである。このイメージに沿ったものにするため、スクリーンは前後傾斜0°15°30°45°の4 パターンを3つ、計12 枚のものを不規則に並べた形になっている。ただし、完全に不規則というわけではなく、この製品の下方を人が通ることを想定するので、できるだけ傾斜が急なものを外側から配置していき、棚に近づくにつれて、外側のスクリーンに映されているものが見えてくるような仕掛けになっている。距離毎に誘目するスクリーンが変わるこのしくみは、視覚情報を統御すると同時に、棚への歩みを誘発することも狙いとしている。また、この設計は、地面から200mm~250mm ほどの棚に設置することを想定しているが, それ以上の高さや大きさの棚には、視認性の観点からさらに大きな規格が要求される。
今日、世の中に多くの名言集が存在するように、洗練された一節は人々を魅了する。『 宝島の海賊たちが盗んだ財宝よりも、本には多くの宝が眠っている。 そして、何よりも、宝を毎日味わうことができるのだ。 』 ウォルト・ディズニーが称したように、本には宝のような文節が眠っている。棚の中に眠る宝をこの画面上に流すことで、棚の前の人々の知的好奇心を刺激する。一節を流した後に、 背表紙を浮かばせる。背のタイトルを見た人は、その本を探しに棚へと足を進める。ディズニーの言葉を借りるなら、本の背表紙の姿を手掛かりに宝探しをしてもらうということになる。 棚に眠る書物、それに対する我々の興味を照らす提案としてこの製品を作り出した。今回プロジェクションマッピングを行うに当たって使用したソフトは、adobe after effects であり、プロジェクターの性能は800 × 500 の画素で1200 ルーメンである。プロジェクションマッピングに当たって決して十分な性能とは言えないため、実動は暗所において行い、文字の可読性は不十分であった。ただ、この問題はプロジェクターの性能の改善によって克服できると考えられる。また、仮想店舗は演色性の高く輝度の低い照明を使用した薄暗い店舗、即ち蔦屋書店のような場所を想定している。