東山 明 編 『中学校・高校美術科ヒット教材集』

モノプリントによる抽象表現

直江俊雄


1 形との相互作用を体験

 シュールリアリズムや抽象表現にかかわる画家たちの中には、再現的映像を伴わない形態に感情などの精神性を仮託できると考えた人々がいた。これを理解するには、制作過程における形と画家との相互作用、すなわち画家による素材の選択、これに対して素材がもたらす限定性と予期せぬ逸脱、さらに画家の意図による形の選択という繰り返しの中に画家の内面的イメージと画面上の形が相互に揺れつつ一致点を求める様を体験できる教材が望ましい。これをモノプリントの繰り返しとその再構成というプロセスの中に求めてみた教材である。

2 モノブリントから再構成へ

@各自、何か心の状態を表す短文をテーマにかかげる。

Aテーマに沿った形が現われるよう、塩化ビニール板上に油絵の具を展開し、紙に転写する。

B最初の結果がもたらした偶然の作用も受け取りながら、テーマの感じに近づけることを意図して転写を繰り返す。

C転写によって現われた多くの形の中から自分のテーマに沿って有効な部分を切り抜き、別の台紙上に構成して貼る。

D鑑賞一どんな心の状態を表そうとしたのだろうか?


[構成レッスン1へ] [構成レッスン2へ]
[『中学校・高校美術科ヒット教材集』の目次へ]