東山 明 編 『中学校・高校美術科ヒット教材集』

構成レツスン1(基礎編)

直江俊雄


1 色紙を用いた簡易シミュレーション

 簡単な仕組みで色彩と形態の試行錯誤ができ、限られた時間の中で柔軟な造形的思考力を養うための感覚練習ができる。その基本的な仕組みは紙芝居の枠のような画面の中で、色紙を切った形を自由に動かして様々な配置を試みることができる、という点にある。

2 文字の形を壊すことから

 様々な条件設定が可能だが、形としての美しさを元来もっている文字の形を出発点にしてみるのも効果的だろう。たとえば、

@図のような枠を作る。
A自分の氏名から、かな文字またはアルファベットで、好きな3文字を選んで色彩演習用の色紙にかき、切り抜く。
B切り抜いた文字の形を、それぞれ任意の1本の直線で切る。このことによって文字は記号でなくなり、「形」になったのだということを生徒に印象づける。
C分解された形を@の枠の中で動かし、いろいろな構成を試みる。この時、以下の点を強調して指導する。

・バランスのよい、美しい形を探すこと。(よくない作例を作って示してもよい。)

・色紙の動きにつれて、背景の黒い形も変わっていくこと。(教師が実演し、地と図の体験的理解へ導く。)

D途中、気にいった構成ができたら紙に簡単にスケッチし、また壊して時間まで試行を繰り返す。
E時問がきたらスケッチの中から最もよいものを再現してのりで固定し、スケッチとともに提出する。
F状況に応じて、文字や色紙の数、文字を分解する切り方を変えたり、文字を切り抜いたまわりの形を使用するなど、条件を設定するとよい。


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