日本サイエンス・ビジュアリゼーション研究会
イベント
2014年
yagi
出題:
八木勇治

専門領域:
生命環境系/固体地球物理学

イラスト制作:
小泉茜彩子/中島康雄/横川駿/
石田結香/倉賀野美都/若菜美帆


地震の発生メカニズム:弾性反発説
(解説重視のイラスト)

目的:高校の地学教科書に掲載するイラスト
対象:高校生以上

問題

地震の発生メカニズムとして広く受け入れられている、弾性反発説を説明する図を、逆断層・正断層・横ずれ断層、それぞれの場合について作成せよ。

解説

地震という、突発的に発生する現象を理解することは、科学が十分に発展していない時代にはとても難しい問題であったに違いない。科学知識を持たない時代の人々は、地震の原因を様々な動物や出来事に関連づけて解釈している場合が多い。例えば、江戸時代の日本では鯰が地震の原因であると考えられており、鯰絵というものが描かれた。それ以前は、龍が地震の原因であると考えられていた時代もあった。地震とはどういう現象なのかが明らかになったのは、1906年サンフランシスコ地震以後である。アメリカ西部には、太平洋沿岸に沿ってサンアンドレアス断層が横たわっており、この断層の一部で蓄積した歪みがサンフランシスコ地震で解放された。この地震は、現在のような地震対策が施されておらず、かつガス網が整備された都市を襲った。そのため、ある家庭の台所でつけた火が大火災をもたらし、多くの財産が失われたことでも有名である。この地震を調査したReidは、大地震後に現れた地表断層を観察し、地震の発生要因を弾性反発説で説明した。弾性反発説では、地下に断層を動かすような力が働いており、それによって歪みが蓄積して、その歪みが地震によって解放されると考えられている(図)。この説は、現在でも広く受け入れられている。

評価のポイント

逆断層と正断層の場合においても、弾性ひずみの蓄積と、断層すべりによる弾性ひずみの解放が正確にかつシンプルに表現されているのかについて評価する。




地球の進化(アート重視のイラスト)

目的:サイエンスカフェに用いる図
対象一般市民

問題

地球の誕生から現在までの歴史を一枚のイラストにして描く

解説

惑星の衝突と結合によって、原始地球が成長していき、ある程度の大きさになると、原始地球の重力によって原始大気が形成される。その後、大気の保温効果と、微惑星の衝突によるエネルギーによって、原始地球表面はマグマの海(マグマオーシャン)によって覆われる。原始地球の内部の温度が上昇し、金属部が溶け出し、原始地球の中心に集まっていく。結果として、原始大気・マントル(岩石)・核(金属)の3層が形成される。またジャイアントインパクトのような大きな惑星同士の衝突によって、月が形成されるイベントが発生したりもする。地球の表面が冷えてくると地表は固まり、地表に雨が到達し、原始海洋が形成される。その後、プレートテクトニクスによって大地が動き、現在の大陸や海が形成される。大陸は集合と離散を繰り返し、現在の地球となる。その間に生命の誕生や巨大隕石の衝突による生命の大絶滅イベント等がある。

評価のポイント

地球の誕生から現在の地球までの大まかなストーリーが描かれており、シンプルに表現されているかを評価する。