■道具として 食や生理欲求のコントロールに欠かせないのは水とエネルギーと情報である. これらの存在もまた主張してもらいたかった.そのため,配管配線またコンセントなどの所在は見せることになった.使うという行為の中にライフラインのあり方だけでなく,それらに使われる素材の特徴についても考えることが含まれることになる. とは言え,使いやすいに越したことはない.そこでコンセントは無駄な露出を避けて壁又は床など「沿わせることの出来る構造体」に近寄せて配置した.結果,それらを利用する器具にとって無理のかからない配線が出来るはずである.また,書庫室においてはコンセントを天井に設置し,生活の中で効率的なパワーラインの供給ルートを考えて使うことができるように設計されている.主な部屋には電話テレビネットワークを全て配線して情報アクセシビリティを確保した.
水回りの一つの役割は清浄作用である.
水回りのもう一の役割である食空間は住居の中でもっとも高機能高密度な空間である. さて,大人が立位で自然に手が届く下限は600mm台なので,スィッチ類の高さは1000mmあれば大人の操作には不都合はない.一方,当面この家に住むもっとも小さい人は身長が約1000mm なので自然にて賀届く高さは1200mmより低い.子供による操作を防ぐためであるならばスィッチの高さを1200mmないし更に高い位置に設定することは合理的だが,子供に操作をさせないこと自体が不合理である.そこで,この家の扉の手掛かりやスィッチ類は900 - 1000mm となった.ここにも考えることや考えさせる部分がある. |