1 無意識に関する一般的な理論
2 無意識のダイナミズム
3 超自我
4 個人的無意識と集合的無意識
5 子どもの心にある原初的イメージ
6 無意識的な統合の過程
(ここまでの節省略)
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(一部省略)
子どもの教育から,世界大戦の破局まで,そして,さらに永続する世界革命の破局まで――話のつながりに無理があり,この論旨全体がまやかしのように思われるかもしれません。しかし,そうではないのです。私たちの集団の病の秘密をたどれば,個人の自発的な創造性の抑圧に行き当たります。教育と社会組織における自発性の欠如は,ルネサンス以来の経済,産業,文化の発展による致命的な結果である,人格の分裂に起因するものです。人格は,その自然な成長がさえぎられたために,統合されなくなってしまいました――強制的なしつけや,権威主義的な道徳,社会的慣習や機械的な労働などが,自然な成長を妨げたのです――今では,充分に枝を広げた樹木の代わりに,ねじ曲げられた発育不良の低木しか見ることができません。しかし,人間は樹木よりも複雑であり,抑圧の結果も,はるかに悲惨です。人間は,自分に背くだけではなく,その仲間にも背いてしまいます。人間の破壊的な力は,個人的であると同時に,社会的なものです。個人が,自分自身を破壊する方向に向かわない場合は,抑圧の重みの方を破壊しようと試みますが,その際に,その抑圧を,ある特定の集団や国家などに結びつけるのです。(中略)導かれた成長,励まされた発展,思いやりのあるしつけ,すなわちもっとも広い意味での教育のみが,生命がその自然の創造的な自発性を充分に生きること,感覚的,感情的,知的に充分に生きることを,確かにすることができるのです。
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