日本サイエンス・ビジュアリゼーション研究会
イベント
2011年

ユビキチン化を介した
タンパク質分解のしくみ <3>

出題:
小林麻己人 医学医療系(教員)
松岡侑里 生物学類4年(免疫学研究室・学生)

専門領域:
分子発生生物学

イラスト制作:
岸田洋子 芸術専門学群2年
高橋大地 芸術専門学群1年

目的:サイエンスカフェや市民フォーラムでの公演に用いるスライドに導入するイラスト
対象:科学者及び科学に興味をもつ一般人(年齢18歳以上)
サイズ : A4横位置・カラー(スクリーンに映写して使用)

問題

ユビキチン-プロテアソームシステムは不要なタンパク質を選択的に分解する機構である。ユビキチンははじめに、ATPのエネルギーを利用してユビキチン活性化酵素(E1)に結合する。次に、E1と結合したユビキチンはユビキチン結合酵素(E2)に渡され、ユビキチンリガーゼ(E3)上で標的タンパク質へ渡される。この反応が繰り返されることによって、ユビキチン分子が鎖状に結合し、ポリユビキチン鎖が形成される。ポリユビキチン化された標的タンパク質は、プロテアソームによってATP依存的に分解される。この際、ポリユビキチン鎖は標的タンパク質からはずされ、再利用される。


話し合った内容のポイント

ユビキチン-プロテアソームシステムは複数の段階を伴う機構であり、複数の要素が関わっているため一枚の図に表すと雑然としてしまう。一連の反応の中で、『ユビキチンを目印としてタンパク質が選択的に分解される』という点を強調し、その働きを他のものに例える。


アイデアスケッチ

岸田(左図)

「分解」のプロセスの例示の模索

高橋(右図)

一般に分かりやすく、かつできるだけ事実に反しない比喩表現


完成作品

イラスト制作:
岸田洋子 芸術専門学群2年

・たんぱく質破壊のプロセスに工事のような印象を持ったため、道路標識風味に。
・シンプルすぎて伝わりづらいのではないかという不安は拭えない。

イラスト制作:
高橋大地 芸術専門学群1年

・一貫した比喩表現にはならなかったが、それぞれの働きを分かりやすく示した。 ・最終的にタンパク質が選択的に分解される、という事実を表現しきれなかった。