ADP蓮見プロジェクト付属病院リニューアル活動内容



学生とプロのカメラマン1人との13人で構成されているメンバーで、下記のようにいくつかのチームに分かれそれぞれ活動しています。
    ・アスパラガスチーム5人
・メディカルセンターチーム4人
・竜ヶ崎病院共生会チーム1人
・家具製作チーム3人
そのうち、メディカルセンターチームは人数不足のため、アスパラガスチームに吸収されたり等、人数が少ないながらも臨機応変にチームごとにやりくりをしています。

・アスパラガスチーム
2005年から始まった活動も2年目、06年夏からアートステーション化を目指し、ガラス扉への付け替え、展示きっかけの設置、壁や天井、柱の白塗装、手すりアームの取り外し等々を行い、07年4月半ばに完成したのが『アートステーションSOH』。
 このアートステーションSOHには、"例えばナースステーションにいつもナースがいて、安心を与えてくれるのと同じように、いつもアートがあって、訪れる人の「いきいき」につながる場所に・・・"という思いが込められ、病院にいながら病院にいることを忘れさせてしまう、また、病院というどこか堅苦しく重苦しいイメージそのものを変えてしまおうという意気込みがあふれているように感じられます。 
 そのアートステーションSOHの具体的な利用方法は、
 ・作品を展示するギャラリー
 ・アートワークショップで作品を制作する作業場
 ・アートとデザインに彩られた空間そのもの
など、"アートに関わるあらゆることを発信する場"としての利用とともに、設置されている自動販売機で飲み物を買ってほっと一息ついたりと、アートを通しての憩いとして、少し非日常的な空間を演出してくれる場と言えます。
アートステーションSOHのSOHという名称は "Seed Of Humanity" の頭文字をとったもので、直訳すると、seeds は [種] 、 humanity は [人間、人らしさ]となります。 この場所が、ひとの活動から生まれるいきいきとしたエネルギーを、病院全体に伝える原点となることを願って付けられた名だそうです。
アートステーションSOHでチームのみなさんがいろんな色の、形の、アートの種まきをして力添えをし、それを見ている来院者や患者、そして私たちが花を咲かせたり根付かせたり...と一体になって育んでいくというスタイル。また、SOHには [想] [創] [窓] という、この場所(性)のキーワードを表す漢字の、音も当てはめられているそうです。
 
 そのSOHでアートワークショップ co-more-bi という参加型のワーショップが07年6月18日〜7月13日まで開催されました。 この co-more-biアートワークショップはみんなそれぞれがつくった植物のパーツをつなげ、アートステーションSOHの窓に大きな木を育てよう!というコンセプトのもと、参加者が思い思いのつたの形に切り抜いたフェルトを、吸着盤で窓にくっつけ、どんどんつなげていき、最終的に大きな木にするものでした。「皆で」つくったものを、「つなげて」、生命力を感じるようなひとつの大き「木」を病院にあらわそう!というアートワークショップなのです。
ちなみにこの”co-more-bi” という名の由来は、co (共に、協力、協働などを表す接頭語)と more (より、もっとの意味)を、日本語のこもれび(木漏れ日、木洩れ日)の読みに重ね合わせたものだそうです。
 6月18日、種まき式から始まった co-more-bi は初日からたくさんの方が訪れ、1週目、2週目、3週目と1ヶ月かけぐんぐん成長していきました。
ぐんぐんぐんぐんユニークに、あざやかに成長していき...そして最終日には大成長を遂げたつたを見ることができました。それはそれは立派な大きな木に成長しました。
 ほんの小さな種から始まったこの co-mere-bi 。数え切れないほどのたくさんの人たちがここに訪れ、作品を作りながら、そして鑑賞しながら、チームのスタッフの方たちと時間を共有し、時には足下の方にまで、天井にまでつたが広がっていたり、いつのまにか植物ばかりでなく動物等ユニークな形まで登場したりと、スタッフの予想を良い方向で裏切られることもあったようで、こんな作品もできるんだ!と自由度の高いワークショップならではの楽しさを再発見したり、仕掛けたスタッフが参加者に逆に新しい発見をもらえたり、という一面もありました。
 また、"最近の病院の建築は、ステンドグラスやオブジェが備え付けてあって、もうそれで完成しているけれど、ここは患者さんが自ら参加しながら、環境を変えていけるんだね!"との声を参加者からかけられたりと、"病院建築をキャンバスに、作品を作っていく。人の手によって、病院をわくわくするような場所にしていく。いきいきするようなエネルギーを生んでいく"というアスパラガスというチームで目指していたものが、まさに認められ叶った瞬間でした。フェルトと吸着盤という限られた材料と道具でも、普段の学生生活だけでは触れ合えないようなたくさんの年代の、環境の方々が自由に参加したことで、予期しなかったような個性的で創造豊かな作品が生まれ、とても見応えのある素敵なワークショップとなりました。
 また、現在付属病院では平成24年完成予定の新病棟の建設の話が固まり、平成20年から業者を選定したりと具体的な作業が始まります。それに伴い、"病院内ミュージアム構造"としてチームも関わり、活動の道具が保管できたり、ミーティングができたりと学生が集まれるスペースを提案中。コンセプトを"家"とし、
 ・格好よい空間
 ・部屋と庭の間の中間的なスペース
 ・患者さんも出入りできる
等のイメージ、コンセプトから図に起こしているところです。


・メディカルセンターチーム
 メディカルセンタ-内にて07年7月14日より"うたたね"展示。うたたねとは、種を使ったオーナメントのことで、病院内の壁に5線に見立てた線を張り巡らせ、その上にフェルトで作り、鈴を入れた"種"を配置。病院内の壁に譜面が色とりどりで表現される、とても見ていて鮮やかで柔らかく、あたたかな気持ちになれる展示です。この種は日ごとに増えていき、7月はかたつむり、8月はキラキラ星、9月は赤トンボ、というように季節感あふれるものになっています。曲ごとに種に星がついていたり、かたつむりが線の上を這っていたりと、それぞれ工夫されていワす。付属病院内でのco-more-biワークショップとはまた違い、参加型というよりは展示として鑑賞者に提供されているものですが、その投げかけ方がとてもユニークで微笑ましく、病院内の堅い雰囲気がフェルトのあたたかさで包み込まれるようです。


・竜ヶ崎病院共生会チーム
 07年11月11日に竜ヶ崎病院で行われた"健康祭り"というイベントで、学生も1ブースお借りして、"はっつけ堂"という参加型イベントを開催。はっつけ堂ではチーム内に1人いるカメラマンスタッフが患者さんの笑顔の写真を撮って、それを楽しくきれいにビーズ等でデコレーションし、メダルのように首から下げれるようにし手渡すというもの。なかなか写真も撮る機会も少ない、ましてや笑顔で、という病院内で笑顔の写真が手元に素敵な形で置いておける、とても素敵な企画でした。

・家具製作チーム
 付属病院内、SOHの現状を受け、新たな家具を製作し、病院内の雰囲気を変え、よりよいものにしようというチーム。病院側との協議を重ね、どういったものが望まれているか、どこまで作品として製作できるのか、と試行錯誤を繰り返しての作業が進められる。アイディアの段階から、模型製作、設置までのほとんどの作業を学生の手で行うが、製作の過程で木の加工等、技術的に無理なものは業者に委託。病院との様々な調整や納期の問題、業者とのやり取りなども重要な仕事となった。
 
2007-12-10