絵画表現から見る肌のリアリズム

リアリズムはその時代の思考や社会背景によって変化し、表現者によって手法が違うため各個人の主観的な見解となると考えます。

絵画や素描による表現は肌の想像を直接的に作品に投影し、これまでも私の制作研究の見本として取り扱ってきました。立体造形は制作のプロセスが先行し、最終的に完成した作品と始めのスケッチとの印象が変わってくるという感覚があります。例えば、シリコーンゴムの分割型からポリエステル樹脂に成形した作品は、型から取り出した時点で輪郭線の甘さが出てしまいます。更に分割型から生じるバリを取って研磨し、パテ埋めによる修正をすると形が若干、変形する場合があります。このような工程が入ってくることで初めの形態のイメージとズレが生じてきます。間接技法による表現は、制作工程から発生する条件が最終的な形態に付きまとってくることは否めません。形体のイメージのズレから肌色の想像のズレに繋がっていき、最終的に理想としていた始めの形体と違ってきてしまいます。私にとってスケッチや素描は思い浮かんだイメージをそのまま紙に写し出すことができると考えます。脳と手が直接繋がっているような感覚で描画材料から支持体へアウトプットできます。絵画表現は、現実的な人物の肌色、質感表現が多いことが挙げられます。直接技法である素描や絵画表現は、立体造形表現よりも理想的なイメージを直接的に表現できるという感覚が私にはあります。