デュエイン・ハンソン(Duane Hanson)について

スーパーリアリズム作家のデュエイン・ハンソンは、作品によって当時のアメリカの現実社会を鋭利に映し出しました。本物の人間と見間違う作品は、ハンソン彫刻とも呼ばれて独自のスーパーリアリズム表現を確立しました。ハンソンは、1925年ミネソタ州生まれ(1995年没)で農業を生業とする家庭で育ちました。当時の農業技術は生計をたてることは厳しく、幼少時代は貧しい家庭状況で過ごしました。この背景を持ったことで資本主義による消費社会に訴えて、労働者階級が受けた社会的影響やその子ども達の姿を造形表現しました。社交的であり、現実主義者であったハンソンは、広範囲な人々の生活状態について観察し、スーパーリアリズム芸術を通じて社会に訴えました。彼の作品は、現代社会の問題を論じさせるきっかけともなりました。アメリカでは、1960年代終わりにベトナム戦争や人種差別、人種暴動があり、これらを題材として扱いました。彼の初期作品は社会の残虐な行為と不正行為について力強く表現しています。私は、こうしたハンソンの現実味のある立体造形に注目してきました。

  • 小林剛『アメリカンリアリズムの系譜 –トマスエイキンズからハイパーリアリズムまで –』、関西大学出版部、2014年、231
  • マーク・M・ジョンソン、『デュエイン・ハンソン ポートレイト フロム ハートランド』、アート・アンド・アクティビティズ5、プロクエスト、2004年6月、pp.41-43(Johnson, Mark M(2004), “DUANE HANSON PORTRAITS FROM THE HEARTLAND”, Arts and Activities135.5, ProQuest, Jun 2004),https://search.proquest.com/docview/216918193/C05645C225DA4896PQ/1?accountid=25225 (参照2015-09-26)