制作研究のテーマ

私は不飽和ポリエステル樹脂(本論では、英語名Unsaturated Polyester resin から略記号のUP樹脂とする)を主な造形素材として、2002年から動物(豚)をモチーフとした立体造形作品の制作を続けています。養豚業を生業とした両親の元に育ち、養豚業を見てきた経験を活かして豚をテーマに芸術活動の軸としています。そして、生命を題材として、視覚的に温もりのある皮膚の表現を立体化することを目指しております。より理想的な皮膚を表現するために、着色によって肌理を作り出すことが出来るUP樹脂を使用素材としています。「肌理(きめ)」とは、質感と色を含んだ立体造形の表面のことを指します。透明感を表現することによって肌の色のグラデーションを作り出し、更には質感に繋げることが出来ると考えています。
私が目指す皮膚や肌理の色のイメージは、日本の養豚農家が主に育てている白豚の皮膚の色から作品に反映させています。白豚は、元々、イギリスのヨークシャー原産の豚であり、ヨークシャー種と呼ばれます。顔や脚部分はやや黄色味を帯び、体温が高い脚先や鼻先、耳は赤みを帯びています。そして、表面が大きな腹部分や下半身部分はやや白み帯びて肌の中に様々な色の変化を持っています。私は、人間の姿や性格を豚に投影して描出することで、生きることの欠点あるいは美点を探求しています。

 

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