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“Toyo Kumono” は、古事記に登場する雲の神・トヨクモノに由来する。「トヨ」「クモ」で“ 豊かな雲” という意味だ。

日常で本を読む場面として、どんなものが挙げられるだろう。自宅、電車やバスの中、図書館、本屋、ブックカフェ、本はあらゆる場所で読まれている。一般的に読書には静かな環境が好まれるが、実際の読書シーンでは生活の様々なノイズが紛れ込む。それは音に限らず、動くものや、匂いや、あるいは身体的不快感だったりする。もしも、そうしたノイズを一切無くしてみたら、本を読むという行為はどう変化するだろうか。これは、ひとが周囲から五感を通して受け取る情報を、可能な限り「無」に近づけた場所の提案だ。身体的・精神的に真っさらな状態で本と向き合う新しい体験を生み出す試みである。そうした空間を実現するために照明にできることは、光を生み出しつつも姿を隠すことだと考えた。さらに、「見えないけれど存在する」というイメージから神を想起した。