この「中学校・高校／美術科ヒット教材集」は，生徒たちが集中して意欲的に取り組んだ教材，新しい発想，新しい感覚，新しい素材で取り組んだ教材，この教材を取り上げるとかならず生徒たちが乗ってくる教材，そういう教材を集めた「ヒット教材集」である。全国の素晴らしい実践をしている多くの先生に執筆してもらい編集した。
現代社会の急激な変容に伴い，子どもの興味も価値観も大きく変容し，美術教育も発想の転換と新しい教材の開発を迫られている。また美術科の時間数の削減問題など，「美術教育の存続に開わる危機」も直面している。そのためには，中学校，高校における美術教育の必要性を生徒，親，教師仲問，社会の多くの人々に啓蒙・啓発していく運動も大切である。もう一つは，授業の中身の充実である。いくら美術教育が大事だといっても，生徒たちが美術の授業の必要感を感じなければ意味がない。
知的にも，精神的にも，肉体的にも飛躍的に発達する中学，高校時代の生徒たち。その生徒たちが創造力があり，美的，文化的な価値観をもって思考したり生きていける人間形成をすることを，美術教育のねらいの一つに位置づけるとき，中学，高校での美術教育の役割も重要であると思う。
この「中学校・高校／美術科ヒット教材集」の第1巻では，「平面造形」の「ヒット教材集」。2章では「中学校・高校における／美術教育の存続に関わる危機」と「平面造形の各領域の指導と手だて」を掲載している。
第2巻では，「立体造形」の「ヒット教材集」と「中学校・高校／美術科の発想の転換と教材開発」と「立体造形の各領域の指導と手だて」を掲載している。
ここに掲載した「ヒット教材」を参考にして，生徒たちが意欲的に取り組め，充実感を感じる授業を，自分なりに創りだしてもらえば幸いである。
また，この「中学校・高校／美術科ヒット教材集」の出版にあたり，ご執筆頂いた先生方，編集にあたりお世話になりました明冶図書の石塚嘉典氏およぴ岡村英子さんに深く感謝します。
1994年1月
編著者 東山明