日本サイエンス・ビジュアリゼーション研究会
イベント
2011年

『ニトリル代謝クラスター』は目に見えない工場

出題:
小林達彦 生命環境系(教員)
野村 純平 生物機能科学専攻D2年(学生)

専門領域:
微生物育種工学

イラスト制作:
伊藤奈穂実 芸術専門学群1年
江芃儒 芸術専門学群1年

目的:学会などに用いる解説図
対象:学生・若い研究者
サイズ : A4横位置・カラー(50%に縮小して使用)

問題

近年、酵素による物質生産が注目されてきています。その理由は、非常に温和な環境で反応が進み、副産物が少なく環境に優しいというメリットがあるからです。産業利用に成功した微生物である「ニトリル分解菌」は、ニトリル(R-C≡N)を合成、分解する一連の代謝遺伝子クラスターを持つことが知られています(下図)。ニトリルやアミド(R-C(=O)-NH2)など、非常に有用な物質を生産できる「ニトリル代謝クラスター」について、産業利用の可能性を含めて描いてください。


話し合った内容のポイント

一番描いてもらいたかった部分は「酵素の特徴付け」でした。なぜなら酵素は、見た目でその機能を説明することが出来ないからです。立体構造もみんな似ていて違いが全然ないように見えてしまいます。あとは全体を見て、「利用価値が眠っていそう」とか「なんとなくすごそう」と思ってくれるような絵を描いてもらいたかったので、それぞれの酵素や化合物の説明をかなり詳細に伝えました。


アイデアスケッチ

情報量が多いので、いかに見やすく画面を整理するかということを一番に考えました。また、化合物や酵素の特徴に適した色や形を使用していこうと思いました。対象が、学生・若い研究者なので、ある程度専門的な知識も含めて描きました。


完成作品

イラスト制作:
伊藤奈穂実 芸術専門学群1年

使う色数が多くなってしまったので、それでも画面がうるさくならないよう、また、似た色で混同しないように気をつけました。全体の流れと、各々の詳しい情報が解る画面作りを心掛けました。

イラスト制作:
江芃儒 芸術専門学群1年

イラスト化を強調して、流れを理解しやすくし、かわいい絵で化学変化を表わしました。製品を工場のようにして、全体をシンプルにしました。