取組の概要

 

 本学の教育は、全学的な管理の下に編成される自由度の高い教育課程により、教養教育と専門教育との有機的な連続性を確保し、これにより「広い視野と学際性に富む人材の育成」を可能にしているという特色を持っています。他大学とは異なる本学独自のこの教育システムは、建学理念の一つである「問題解決型の人材養成」の実現に着実な成果を挙げておりますが、社会問題の複雑化や多様化が進む現代にあって、本学ではなお一層の教育努力により、社会が抱える様々な問題を学生自身が自分の問題として敏感に感じ取る「力」、また、自己の知的探究心をそれらの問題解決に振り向ける「意欲」をさらに向上させる取組が必要と考えております。従来、「感性」や「意欲」といった資質の向上には、学生に社会参加の機会を与えるインターンシップ教育が効果的とされていますが、医学領域などの専門性の高い分野を除き、実際にそれぞれの専門課程の中に体系的にインターンシップ教育を導入するのは、なかなか難しいのが現実です。そこで、本取組では、本学がつくば市と連携して開発を進めている市民向けの「マイスター育成講座」を、学群・学類教育の実践的フィールド、つまり学内におけるインターンシップ教育の場と位置づけ、そこに学生を参加させることにより、学生自らが専門的学習の習熟度を自己点検し、さらに受講者との共同作業や交流を通じて「社会貢献意欲」や「問題意識」の向上を図るプログラムを開発することにしました。
 「マイスター育成講座」は、地域社会で自律的に行動する市民の育成を目的として、本学がつくば市と連携して実施する社会貢献プロジェクトです。生物資源学類では「食と緑」、芸術専門学群では「美と芸術」をテーマとする講座を開発中で、前者は「食育」及び「環境教育」の担い手として活躍する市民の育成を、また、後者は「地域での芸術活動を支援する人材」の養成を目的としています。いずれも、それぞれのテーマに関する知識・技能の修得を目指し、それらを地域の活動に活用しようとする目的意識の高い市民を対象としている点が従来の公開講座とは異なる点であり、コミュニティーカレッジ的な性格を持っています。 
 講座の内容は、大学が提供する「講義」、「実習及び演習」、受講目的に応じて個別に課せられるに「課題別学習」から構成されこれにつくば市の提供する体験学習や、NPOの提供する野外実習を加えた通年のコースとして実施されます。「実習・演習」と「課題別学習」の内容が受講者ごとに設計されるという点もこの講座の特長です。本取組の主題である「課題対応型体験学習プログラム」は、「マイスター育成講座」の受講生に対して特定分野の知識・技能を教えることができる一定以上の専門的知識が必要との観点から、専攻分野が確定している3年次以降の学生を対象とします。指導教員は、受講者の選択するコース及び課題に対応して、一人の受講者に一人の学生を配置し、通年3単位の正規授業として「マイスター育成講座」の企画・実行に学生を参加させます。このプログラムの中で、学生は、指導教員とともにそれぞれの受講者に対する「実習・演習」の個別メニューを作成し、教員の指導の下に実際にこれを担当します。また、受講者に個別に課せられる「課題別学習」について、学生はチューターとしての役割を担い、目的達成に必要な文献情報の検索や整理に関する指導を行なう他、受講者の調査研究や創作活動を通年にわたって支援します。本取組では、これらのインターンシップ的な教育実践を通じて、学生が、大学での専門的学習の習熟度を自己点検し、専門知識・技能の総合化を図ってその応用力を向上させる教育効果を期待します。また、第2の効果として、大学で修得する専門的知識や技能が身近な社会でどのように期待され、また評価されているかを肌で感じることにより「社会貢献マインド」の向上が期待できます。さらに、第3の効果として、明確な目的意識を持つ受講者との交流により、学生の「感性」がより豊かになることを期待します。
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