自動車の知的コミュニケーション」では,人間と自動車の知的情報伝達技術と運転者の行動による心理 的関係,人間の機械に対するエラーを探ってInstrument Panelの新しい接近方法を述べる.第3章では事例研究を取り上 げ,上述のような考察を元にして,具体的な実験,分析,検 証を行った経緯とその結果について述べる.そして第4章に 事例研究からの実験分析を元にしてInstrument PanelのPrototypeのイメージ演出及び形態的表現とのカテゴリ化を目指 す.第5章においては本論の総合的な結論を記述し,本研究 をまとめる.
◆事例研究の進め方
一般的運転行動の種類と原因の関係がどのような状況によっ て行われるかということについて,マシーンによる運転操作 の分類をする.そして,それに対する運転視線との関係を実 験を通じ解析方法を決定する.
それを,アンケート調査からの計器盤の認知度の結果とと もに再分解をして総合的な結論を出し,自動車計器盤の形態 的な提案を行う.そのためには,運転者の視覚及び聴覚,運 転行動との連関性をより具体的に細分化する方法によって進 行し,計器盤内のいろいろな視覚的ディスプレイ,全体的イ メージ化を演出することによって進められる.
◆事例研究と結論
◇比較分析の結果では
*日中走行と夜間走行の偏差からの解析の結果,わかりや すさ,楽しい,自由な,に高い偏差が見られる.
*日中走行時の得点の高い要素は,わかりやすい>読み取 りやすい>便利な>静かな の順番になっている.
*夜間走行時の得点の高い要素は,自由な>わかりやすい >楽しい>造形的 の順番になっている.
*日中走行/夜間走行を比較すると,読み取りやすい,便
◆論文の概要/背景・目的・構成
現在,車載情報機器のインタフェース評価やドライバの行動 特性の研究においては,眼球運動や心拍数変動,動面像処理 による運転者の視線流出等の評価手法が用いられている.そ の中でも計器の相互関係や計器別注視や,注視点配分等ドラ イバーの眼球の動きを動面画像処理などを行いながら認めて きた.しかし,車内から起こる運転者の操作行動と注視系の 相互関係及び視線流出,計器盤から取得する情報認知過程及 び計器盤のディスプレイの画像処理についてのデザイナーの 観点からの論文として,認められる物は少なかった.
このような時点で自動車のMotion Contorolによる知的計器盤についてデザイナーの根本的な視点から,より体系的な研 究が必要であろうと考える.
そこで本研究ではこのようにInstrument Panelと人間とのコミュニケーション過程から流出する視覚的ミスや限界,それ による人間のMotion Contorolの予期せぬトラブルに着目,ヒューマン系の操作パターン及び運転者のアクション・リア クションに対するヒューマンフレンドリなInstrument PanelのPrototypeを諸類型分類,分析を通じて提案しようとするもの である.
第1章「自動車と人間の関わり」では,歴史的流れと変わ る生活環境に対し自動車の先端科学技術の知的関係を調べ る.そしてInstrument Panel内のディスプレイの分類,分析と基本的運転制御機能を述べる.
第2章「人間と
れるのは,運転をする人は,自分自身が操作したアクション,リアクションに対し,正しかっ
たかという不安感,つまり確認過程の経路がわからないとい
うことがわかった.そのため,視線と運転行動の間のカテゴ
リ関係を繋ぐ過程から考えた表示機器はそこから生まれるエ
ラーを防ぐことができると考えられる.この点に着目し,計
器盤のいろいろな各ディスプレイの種類を体系的に分けるこ
とにした.
A)自動車の状態を運転者に表示するグループ
B)走行をするための表示グループ
C)運転者のアクションによる状況が分かる表示グループ
以上のように運転行動をより知的に計器盤に伝えるための 試みをインタフェースデザインの立場から進めてきた.計器 盤本来の情報表示のわかりやすさを技術に先行して研究する ことで単純な運送道具としての自動車,パーソナリティ空間 としての自動車を一つの生き物として人間と結びつけていく 時代が必ず来るであろう.その実現化のためにはデザイン的 観点から綿密な研究に取り組んでいく必要があると考える.
◆今後の課題と展望
進歩する科学文明を共にした人間はこれからもより便利なマ シーンを作っていくと考えられる.しかし,よりすばらしい 機械の前で人間は新しいマニュアルを覚えなければならな い.例え,マニュアルが必要ないぐらいの簡単な操作であっ ても,人間は必ず意識・無意識的なエラーを起こす.その ヒューマン・エラーのスキマをどこまで減少するのかが未来 に向かう我々の一つの課題であろう.
それらの問題点から考えると,自動車の計器盤だけのこと ではなく,すべてのマシーンをコントロールする人間と機械 の間には調整をする道具と状態を見る計器盤というコミュニ ケーション道具があり,それは,マシーンの状態に応えなが ら操作する人間の試みと操作されるマシーン系の判定によっ て,より正確で安全な関係が成立されると考える.
このように,計器盤の重要性は情報を写すだけではなく人 間のエラーを減少する役割を持たせることによって豊かな科 学文明の世界が我々の前に広がるであろう.
利な,わかりやすい の場合,夜間走行より日中走行の ほうが高い得点を取っている.その代わり,楽しい,自由な,造形的,感性的の場合,夜間走行の時高い得点が 現れた.
*日中走行の場合は,速度計>燃料メータ>ギアー変則表 示>エンジン回転計 の順番となり,
*夜間走行の場合は,速度計>ギアー変則表示>燃料メー タ>エンジン回転計 の順番となっている.
◇日中走行/夜間走行を比較分析すると,燃料メータ,方 向指示灯の場合,日中の得点が高かった.
速度計,エンジン回転計,ギアー変則表示は夜間走行に 高く得点された.
そして,自動車の機械的表示項目は燃料メータ以外の温度 表示,バッテリ表示,オイル表示,ラジエタ表示 は夜間走 行時注視性が高く分析された.
比較偏差から分析すると燃料メータ,オイル表示の項目に多 くの偏差が見られた.そして,エンジン回転計,ギアー変則 表示の場合マイナスの得点で集計された.
その結果,以下の2点が成立することが予想された.
1)運転者の走行状況によっては,各計器盤の中の動力計 の表示,マシーン計の表示,操作計の表示の情報伝達がそれぞれの状態で項目別により精密な情報を必要とする.
2)機械に対する人間の信頼度より,自分自身の判断に よって行為される操作が正しいかどうかの無意識的再確認過程のMotion Contorolと繋がっていると考えられる.
実験では運転状況に予想できる行動を11項目,そして,視 線による5のサンプルを取り主成分分析を通じ計器盤に接近 できる方法でおこなわれた.
固有値,0.984までを採用した時三つの主成分が得られた.
1)第1主成分は,右サイド,左サイド,その他の各視線 方向の寄与が大きく側面に向けた視線の成分がある.但し右,左とその他は相反する傾向を持っているので,ミ ラーを見ている時はその他は見ないと言える.
2)第2主成分は,バックミラー,シフトを見る視線に よって構成されるので上下運動を表す.
3)第3主成分は,計器を見る視線によって構成される.
計器盤はその他のいずれの視線とも異なった注視のパ ターンを持つと言える.
こうした結果から考えられるのは,運転をする人は,自分自身が操作したアクション,リアクションに対し,正しかったかという不安感,つまり確認過程の経路がわからないということがわかった.そのため,視線と運転行動の間のカテゴリ関係を繋ぐ過程から考えた表示機器はそこから生まれるエラーを防ぐことができると考えられる.この点に着目し,計器盤のいろいろな各ディスプレイの種類を体系的に分けることにした.
A)自動車の状態を運転者に表示するグループ
B)走行をするための表示グループ
C)運転者のアクションによる状況が分かる表示グループ 以上のように運転行動をより知的に計器盤に伝えるための試みをインタフェースデザインの立場から進めてきた.計器盤本来の情報表示のわかりやすさを技術に先行して研究することで単純な運送道具としての自動車,パーソナリティ空間としての自動車を一つの生き物として人間と結びつけていく時代が必ず来るであろう.その実現化のためにはデザイン的観点から綿密な研究に取り組んでいく必要があると考える.
◆今後の課題と展望
進歩する科学文明を共にした人間はこれからもより便利なマシーンを作っていくと考えられる.しかし,よりすばらしい機械の前で人間は新しいマニュアルを覚えなければならない.例え,マニュアルが必要ないぐらいの簡単な操作であっても,人間は必ず意識・無意識的なエラーを起こす.そのヒューマン・エラーのスキマをどこまで減少するのかが未来に向かう我々の一つの課題であろう.
それらの問題点から考えると,自動車の計器盤だけのことではなく,すべてのマシーンをコントロールする人間と機械の間には調整をする道具と状態を見る計器盤というコミュニケーション道具があり,それは,マシーンの状態に応えながら操作する人間の試みと操作されるマシーン系の判定によって,より正確で安全な関係が成立されると考える.
このように,計器盤の重要性は情報を写すだけではなく人間のエラーを減少する役割を持たせることによって豊かな科学文明の世界が我々の前に広がるであろう.