「Virus Buster Offline – The marvels of Code Violet」は、筑波大学の医学・芸術の専門家からなるチーム「Gluccie Collaborations」(共同制作者13名)が手がけた作品であり、2019年のアルスエレクトロニカ・フェスティバル(オーストリア・リンツ市、Post City会場)のCAMPUS EXHIBITION部門に招待出品された。アルスエレクトロニカは1986年から続くメディア芸術分野で最も権威ある祭典であり、2019年の参加者数は約11万人にのぼる。本作は、生活習慣病や糖尿病の予防を目的とした教育プログラムの一環として構想されたものである。

物語の舞台は近未来の日本である。人々はアバターを介してインターネットの世界へ自在に潜行できるが、その世界は「Code Violet」と呼ばれる凶悪なコンピュータウイルスに侵されており、多くの住人が脅かされている。プレイヤーは各自の目的を遂げるため、できるだけ早くこのウイルスを討伐しなければならない。

本作の核心は、物理的なボードゲームと活動量計型のデジタルデバイスを高度に統合した点にある。参加者は一定期間にわたり活動量計を装着し、身体活動量を数値として蓄積する。その運動量はゲーム開始時のハンディキャップに反映され、勝敗の行方を左右する。継続的に参加するほどポイントが加算され、ゲーム内のキャラクターも成長していく仕組みである。参加者同士の相互交流を通じて、より能動的な運動習慣の獲得が促される。加速度センサーやRFIDシステムを用いた独自の小型デバイスとルール設計には、確かな技術的裏づけがうかがえる。

ゲーミフィケーションによって楽しみながら学べる構造を通じ、身体活動の増加を伴う行動変容を促す点に主眼が置かれている。医学的知見に基づく啓発性と、芸術的に洗練されたビジュアルデザインとが調和した、医療・福祉と芸術を横断する協働の成果といえる。制作母体であるGluccie Collaborations は、生活習慣病や糖尿病の予防を目的として、小学校などの教育現場で子どもを対象とした啓発活動を展開している。伝統的な芸術表現の枠にとどまらず、デジタル技術を活かした生活習慣病予防教材として、現代的かつ実践的な提案を示した作品である。