「火星テラフォーミング・ワークショップ ―火星の大地に、未来の街をつくろう―」は、日本宇宙少年団日立シビックセンター分団が2026年2月22日に日立シビックセンター科学館で開催した、筑波大学の村上史明と学生らを講師とするワークショップである。対象は小学3年から中学3年を中心とする宇宙少年団の団員で、当日は団員28名を含む総勢63名が参加した。科学的知識とアート的発想を融合させ、段ボールや廃材を用いて火星に住むための基地・都市をデザインし、宇宙への興味とともに環境・資源の再利用(SDGs)への意識を育てることを趣旨とする。

ワークショップは「未来から来た火星調査団」という物語の枠組みを用いる。汚れてしまった未来の地球から他の星への移住が計画されたという設定のもと、参加者は火星を「住みたいと思える星」にするミッションを託される。活動は複数の「ミッション」として構成される。まず火星の環境を学び、赤い大地や地球の3分の1の重力、平均約マイナス60℃の寒さ、地下の氷といった特徴や、金星との比較、限りある資源を持続的に使う問いに触れる。続く作戦会議では、火星に住む利点と困りごと、住みたい星に必要なものをグループで話し合い、言葉とイラストで表現する。そのアイデアを持ち寄り、お菓子の箱やラップの芯などの廃材に色画用紙やカラーセロハン、アルミホイルを組み合わせて、ドーム型の居住地や植物ドーム、発電施設、探査車などを制作し、会場中央に据えた赤茶色の「火星の大地」の大型パネル上に並べて、参加者全員で一つの火星基地(コロニー)へと仕上げていく。完成後は作品の周りに集まって工夫した点や理由を発表し、最後に火星と地球での暮らしについて考え、ワークシートに記入して振り返る。

完成作品は同科学館に展示され、3月7日開催の「ひたちこども芸術祭」でも展示が予定されている。当日の進行は学生たちが中心となって担い、カッターやグルーガンを扱う場面では安全に配慮した。「地球ってすごい星だと思った」といった子どもたちの感想が示すように、本ワークショップは火星という非日常を構想する営みを通して、ひるがえって地球の環境と暮らしへの気づきを促す構造を備えている。最後に調査団が「今住んでいる地球も魅力的で住みやすい場所にしてほしい」と語りかける点に、その教育的なねらいが集約されている。