環境芸術学会論文集第34号に論文を発表。 本研究は、古代から現代に至る美術作品を手がかりに、人が自然へ向ける「まなざし」の変化を美意識の変遷として捉えたものである。分析は、中世以降の風景画からランドアート、そして気候変動を扱う現代のインスタレーションにまで及ぶ。古代には自然は無関心や恐怖の対象であり、風景画は成立しなかった。しかし近世にデカルトの主客二元論を契機として自然が客体化され、風景画が誕生する。近代には自然観が固定化・大衆化し、ポスト近代には身体が自然に巻き込まれ一体化する美意識が現れた。そして現代の環境芸術は、日常を非日常へ変容させることで、自然を人間と対等の存在として捉え直す脱二元論的な「まなざし」を提案する。こうした美意識は断絶ではなく連続的に更新されてきたものであり、本研究はその系譜を跡づけることで、エコロジーを主題とする現代アートが持つ啓発的な構造を美学的に明らかにした。
環境芸術学会論文「自然をテーマにしたアートにみられる美意識の変遷」発表
- 論文発表