
情報デザインの基本 12

ダイアグラム
ダイアグラムとは図表化することをいう。言葉(文章)だけでは説明しづらいことがある。そうした時に身ぶり手ぶりで、あるいは絵や図を描いて意志を伝えることをする。このような言葉や文章では分かりにくことを、図や表で、場合によってはメタファを利用して示すことをダイアグラムという。ダイアグラムは、情報をわかりやすく把握したり伝達するために構造や手順を明確に視覚化することである。ダイアグラムは、情報デザインにとって最も基本とする表現手法である。
ダイアグラムは大別すると5つに分類できる。
- (1)配列表記(表組)
- 配列とは表組のこと。ある事柄の数値や数値の変化を、表に組むことで把握しやすいように配置したものである。配列表記では文字と数字が中心となり、カレンダー、新聞のテレビ番組表、電車やバスの時刻表などがある。文字や数字を中心に把握しやすいように配列したもの。
- (2)座標表記(グラフ)
- 座標とは、主に数値や数値の変化を規準の点・直線との距離や角度など(またはその組合せ)によって示すグラフのことである。数字だけではわかりにくいことがらをパッとみて理解できるようにしたもの。
- (3)関連図
- ある事柄とある事柄の関係を示した図のことをいう。流れ図(フローチャート)や家系図、木構造を示した図(ツリー構造図やルート図ともいう)、ネットワーク図など。
- (4)地図
- 地図は、空間の距離や位置を表わすものである。地図、海図、天気図、路線図などである。JR東日本の路線図は、広域で複雑な路線をうまくまとめ、良くできている。路線図は1931年にイギリスのハリー・ベックがデザインしたロンドン地下鉄のダイアグラムが、以後の各国鉄道の路線図のお手本となっている。
- (5)図解
- 図で解説や説明を行なっているもの。電化製品を買うと必ずマニュアル(取り扱い説明書)が付属している。マニュアルでは、製品の各部の名称や操作方法についてイラストレーションを用いて、具体的に分かりやすく示している。ここでは客観的に正確に描いた図(テクニカルイラストレーション)を用いて説明することが多い。
情報デザインをコンピュータやITによる新たなデザインと捉えがちである。しかし、情報デザインは、情報を分かりやすく正確に伝えるためのコミュニケーションをサポートするデザインである。私たちの身近かなところで、すでに情報デザインは存在していたのである。
2003年5月
木村浩(情報デザイン/筑波大学芸術学系)
筑波大学芸術学系木村浩研究室 > 情報デザイン > デザインの基本