デジタル化が進み情報は膨大に存在している。そうした膨大な量の情報が存在している世界をサイバースペースと呼ぶ。サイバースペースへの入り口となるのがインターフェースである。情報と接するためには、その情報が読み取れる形状をしていないと理解することはできない。可視化しないと見ることはできない、可聴化しないと聞くことはできないのである。
可視化の場合は、文字かアラビア数字か図像でないと理解することはできないのである。文字はローカルなシンボルであり、数字はグローバルなシンボルである。文字の役割をグローバルにしたシンボルにピクトグラムがある。
アルファベットは、元々はローカルなものであったが、アラビア数字と同じほどグローバルものとなっている。フォントと呼んでいる一つの書体では、アルファベットと数字は一組として扱われ同じ造形方針で作られている。
現在我々がアルファベットと呼んでいる文字は、古代ローマ時代の紀元前150年頃にギリシャ文字を原型としてできたものである。15世紀のグーテンベルグの活版術から誕生した活字はコミュニケーションを大きく変えていくことになったのである。
書体には大きく区分してローマンとサンセリフがある。ローマン体は日本語では明朝体と同じような特徴をもつ書体で、サンセリフは日本でゴシック体と呼ばれている特徴を持つ書体である。ローマン体の代表としてはタイムスが、サンセリフはヘルベチカが代表である。共に、パソコンにも組み込まれているので広く利用されている。
ヘルベチカがサンセリフの代表として広く使われいるが、80年頃から開口部を広くしたフォルムをもつフルティガーが目立ち出した。フルティガーはエイドリアン・フルティガーがデザインし1976年に製品化された書体である。さらに最近ではフルティガーを改良したようなミリアド(Myriad)という1992年にできた書体が新鮮さを与えている。コンピュータではデザイナーの利用者が多いマックの新製品の展開で、アップル社はこのミリアドをロゴとして使用している。文字は単に記号を伝えるだけでなく多くの情報を内包しているのである。
2003年2月
木村浩(情報デザイン/筑波大学芸術学系)
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