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情報デザインの基本 3

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インターフェース

新しいテーマパークにいったとしよう。思いのほか良かったので友だちに喋ろうとする。いざ喋るとなると、思いとは裏腹にうまく話をすることができない。「こんな風にビヨーンとなったかと思うと今度はグアーンと変化してダダダーッ!」と身ぶり手ぶりで感動を伝えようとするがチンプンカンプンである。なぜだろう、頭の中にはテーマパークの新しいアトラクションの体験で感じたことが頭の中にいっぱいあるのにうまく話することができないのである。写真でもあれば少しは説明がしやすくなるが、頭の中のイメージをすべて語ることは到底できない。

コミュニケーションでは言葉と身ぶり手ぶりでしか伝えられないからである。頭の中にあるイメージを符号化して言葉に置き換え、文章にして言語で表現することになるのだが、これがうまくできないのである。これを文字だけで表わすとなると、なおさら難しいことになる。コミュニケーションでは、言葉を使うか身ぶり手ぶりでしか情報を伝達する手段はないのである。

私達が意志を伝えたりその意志を理解するための伝達手段は、会話では「言語と身ぶり手ぶり」で、視覚情報としては「文字と図像」ということになる。情報を入手する時も言語や文字と図像を介して理解することになる。情報との接点は言葉と図像なのである。情報との接点のことをインターフェースと呼んでいる。情報と出会うのはインターフェースを介してである。このインターフェースに表れるのは文字と図像でしかないのである。

コミュニケーションは、一方通行ではなく、情報を受信する者が、情報を理解できてこそ成立するものである。発信することも大事であるがどのうように受信するのか、ということがコミュニケーションにとって重要である。そのためには、わかりやすいインターフェースが必要となる。現在の情報の多さは単にデータとしての情報が多い状況を指しているにすぎない。膨大なデータから情報を得るには、わかりやすくコミュニケーションを成立させる必要がある。わかりやすいコミュニケーションのためには、わかりやすいインターフェースとその構造が求められ、なおかつ、わかりやすい情報を提示することが必要である。インターフェースをデザインすること、それも情報デザインである。

 
2002年8月

木村浩

筑波大学芸術学系木村浩研究室 > 情報デザイン > デザインの基本