鑑賞の発達理論

 ここでは、パーソンズの発達理論の各段階を紹介します。
 第1段階の「偏愛主義」(Favoritism)は、絵の直観的な喜び、色彩への強い魅力、主題に対する自由な連想が特徴です。
 第 2段階の「美と写実主義」(beauty and realism)は、主題についての考えが支配的となり、魅力的な主題や写実的スタイルの絵がより良いと判断されます。
 第3段階の「表現性」(expressiveness)は、他人の経験の内面に意識を向け、その思考や感情をとらえる能力をもちます。創造性、独自性、感情の深さが認識されるが、判断基準は、個人的な経験の特質に依存します。
 第4段階の「スタイルと形式」(style and form)は、全体として伝統的な見方ができるようになり、媒体、形式、スタイル、歴史的 関係における意義を見いだします。また、美術理解のために美術批評が役立ち、美的判断が合理的で客観的なものとみなすようです。
 第5段階の「自主性」 (autonomy)は、微妙な反応がみられ、判断はいっそう 個人的でもあり、また社会的なものともなり、伝統的に形成された作品の意味の概念と価値を判断します。