鑑賞のレパートリー理論

 私たちは、個人が活用する多様な鑑賞の見方に注目し、そして単線的な発達段階論を補完するものとして、鑑賞のレパートリー理論を構築し、検証してきました。レパートリー理論は,鑑賞者が作品のどの要素に興味を払い,そしてそれらに対してどのように反応するのかという二要因に焦点をあて,その両者の組み合わせから多様的な鑑賞スキルを定義しています。つまり,作品の要素と鑑賞者の行動様式を二つの大きな指標とし,両者の組み合わせによって,まず鑑賞スキルを規定し、その鑑賞スキルを最小単位のレパートリーともみなし,鑑賞スキルが繰り返して使われ,使い慣れたものを鑑賞のレパートリーとしています。