『の』の字ハウス コンセプト :花里俊廣 (Hanazato, Toshihiro)


  • 「蓄積する」
  • この住宅は,施主と建築家との話し合いの中でコンセプトが形成された.
    施主は,住宅を以下のようにとらえていた.設計・施工・住みこなしの過程を通じ,アイデアを蓄積させ,行動を蓄積させ,モノを蓄積させ,愛着を蓄積させるもの.
    建築家にとっては,住宅の設計とはそれを手助けすることであり,そのために自分の建築体験(引用)を一緒に蓄積させることで具体化させること.
    つまり,住宅にさまざまな次元の意味を付与し,記憶させることが重要との考えにもとづき設計を行った」.

  • 「蓄積1」 車好きの施主
    施主は,現在シトロエンのトラックなどを4台所有している.そのため来客の場合などを考慮し,最大5-6台の駐車スペースを確保した.一階は主に駐車スペースとし,RCで計画した.二階に玄関を設け,主要な生活空間とした.

  • 「蓄積2」 モノを見せる
    プロダクトデザインの教官である施主は,モノにこだわり,現在の住まいも「見せる収納」「記憶のための収納」が特徴となっている.そこでそれを生かすための工夫をした.具体的には一階のRC打ち放しの部屋は,二階よりのアクセスを主とし納戸的に使われることを想定した.また,二階の中廊下は収納のための棚の空間とした.

  • 「蓄積3」 建築的な引用
    施主と建築家は,何人かの建築家の設計に感銘を受け,彼らの作品からの意識的な引用を行った.たとえば二階の雨戸的な開口部や,のぼり梁の屋根架構のディテールなど(内藤廣氏),一階RC二階木造という構成(吉村順三氏).これは,アカデミックエクレクティシズムの考え方に近いと思われる.

  • 「蓄積4」 記憶術としての階段
    施主の初期のデザインスケッチに,階段が頻出したので,それを設計のヒントとして3つの特徴的な階段を設けた.一階の空間は蓄積の場であり,それをつなぐ階段は行動と認知をともなうある種の記憶術ともいえる.


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