研究目的

一般に大学には多様な教育研究資源の蓄積があるが、美術に関係する「アート・リソース」も活用すべき資源として見逃せない。多数の大学にミュージアム(美術館博物館)が設置されているが、本研究では、より柔軟に、大学ミュージアムのような施設以外でも「アート・リソース」を展示・公開し、また情報発信し、教育研究のみならず、大学の社会貢献に活用する方策を調査研究するものである。
実施にあたっては、これまで実績のある研究グループが共同研究のためのプラットフォームを構築するとともに、各大学の置かれた状況の相違を織りこむことで、より一般性のある研究成果を達成することを目指す。さらには、大学としての美術に関わる方針、つまり「アート・ポリシー」策定への提言にもつながるように努めるものである。

具体的には、大学における「アート・リソース」とはなにかを問いかけ、その保存、管理、そして活用について考察し、開設するウェブサイトによりひろく研究成果を公表するとともに、筑波大学、九州大学、名古屋大学の研究者による合同研究会によりさらに研究内容を深めることを目的としている。


研究実施計画(平成24年度)

筑波大学班
・大学における「アート・リソース」の活用」に関するwebsiteの立ち上げ
・「ミュージアムとしての大学キャンパス」における絵画・彫刻等の展示・公開方法の調査研究
・学内におけるパフォーマンスのアーカイブ化

九州大学班
・積極的に大学博物館との連携に取り組み、とりわけ現キャンパスの歴史性をふまえた活動について研究し新キャンパスにおける新たな大学博物館像の構築を目指し、国内の大学美術館を中心にしたアート・リソース活用例の現状と可能性を調査する。

名古屋大学班
・本班では、アート・リソースをどのようにして活用するのか、その手法の調査研究を分担する。特に情報科学的な知見を活かし、またこれまで開発してきた「文化資源へと導くシステム」を発展させる形で研究を進める。
・「アート・リソース活用のためのシステム」に関する合同研究会を2回程度開催する。これまで開発してきたシステムを、アート・リソースヘと特化していくに際しての基本的なスキームづくりとその機能設計を議論する。
・システム開発とデザイン:「アート・リソース活用のためのシステム」の開発と実装をおこなう。研究会での議論をもとに、情報携帯端末(スマートフォンを想定)で使用可能なプログラムのコーディングと、そのインターフェイスのデザインをおこなう。