「大衆民主主義とイノセント」
/子どもへの眼差し

−−−パナヒの『白い風船』にかかわって−−−

    1. 未熟な民主主義と図工・美術科
    2. 自分にとっての「芸術」への関心 
    3. 「自己表現」と「自己拡張」
    4. 自己表現と「イノセント」そして、、、
    5. 隠喩としての『白い風船』
    6. 旋回する教育パラダイム
筆者は迫り来る大衆民主主義の到来は必然と捉え、そのコンセプトには、他者の眼差しを含む相互啓発こそ欠かせない条件であると考え、個と相互啓発の関係を浮上させるために、イランの映画作家パナヒ(Jafar Panahi 1960〜)の『白い風船』を引き寄せ、『造形ジャーナル』(1996年VOL.41-4<bR54号>PP.2-8<開隆堂>)に書いたものである。 本稿はこれに若干の加除を行い手直ししたが、掲載時の原題は「納税者民主主義時代の鑑賞教育」と題して寄稿してある。付言すれば本コンセプトは「人は、果たして他者の立場に立つことができるのか」が核となる。