日本サイエンス・ビジュアリゼーション研究会
イベント
2017年
kobayashi
出題:
小林麻己人

専門領域:
医学医療系/分子発生生物学

イラスト制作:
岩本亮介 / 加藤華純 / 小林瑞季 /
小山莉瑛子 / 高松航希 / 加来未咲 /
武石早代


小胞体ストレス応答(解説重視のイラスト)

目的:サイエンスカフェや研究室紹介に用いるスライド
対象:大学生、及び、一般市民

問題

昨年のノーベル医学生理学賞は、「オートファジー」を発見した大隅良典先生が授賞されたが、事前の予想では、「がん免疫療法」の本庶佑先生、「制御性T細胞」の坂口志文先生、「免疫グロブリンE」の石坂公成先生も候補に浮かび上がっていました。ノーベル賞の登竜門と呼ばれるガードナー国際賞やラスカー賞を授賞されていた「小胞体ストレス応答」の森和俊先生も、候補に挙げられていました。残念ながら森先生は授賞されませんでしたが、今後授賞される可能性は残されています。ここでの課題は、この「小胞体ストレス応答」が何であるか、聴衆対象となる、大学生や一般市民の理解を助けるイラストの作成です。
  まず自分自身が、「小胞体ストレス応答」とは何か、どういうしくみか、なぜ医学に大事なのか、を勉強して理解できるようにして下さい。図書館に行っても、ネットで調べても構いません。疑問があれば、出題者に直接聞いてもらっても構いません。ちなみに「小胞体ストレス応答」は、一般の「細胞生物学」「分子生物学」「生化学」などの教科書にはまだ載っていません。約20年前に見つかった、比較的新しい概念だからです。ですので、生命系の学生だからといって知っているとは限りません。
  しかし、もし森先生がノーベル賞を授賞されたら、理系なら「小胞体ストレス応答」くらいは説明できないと、就職や仕事に響くかも知れません。芸術系でメディアで働くなら、イラストを描く局面がでてくるかも知れません。そうなっても大丈夫なように、今回、まず自分がきちんと理解し、その上で、どうすれば「小胞体」や「ストレス」すら知らない人が理解できるようになるか、何らかの工夫を創案し、それをイラストに入れるよう努力してください。具体的には、擬人化や比喩を駆使したり、登場する組織や細胞を文字なしでもわかるように特徴付けるとか、などです。なお、解説重視イラストですので、専門語句や文などもいれるようにしてください。

評価のポイント

1.小胞体ストレス応答について、当人がきちんと理解しているか
2.対象である、大学生や一般市民の興味をひく工夫がなされているか
3.ひと目で全体像が理解できるスライドになっているか
4.配色・フォントと文字組・レイアウト・図形などは、見やすくかつ魅力的になっているか

参考書

森 和俊(2016)細胞の中の分子生物学 最新・生命科学入門 (ブルーバックス)、講談社