日本サイエンス・ビジュアリゼーション研究会
イベント
2016年
yagi
出題:
八木勇治

専門領域:
生命環境系/固体地球物理学

イラスト制作:
服部暉 / 小林沙羅 / 玉置隼也 /
竹之内紹未 / 大木理穂 / 坂上有希乃 /
疋田奈菜


プレートテクトニクス
(解説重視のイラスト)

目的:サイエンスカフェで説明するイラスト
対象:地学に興味を持っている一般の方

問題

地震や火山と言った現象を理解する上でも、日本列島の形成を考える上でも、地球表面の構造をコントロールしているプレートテクトニクスと言う概念は重要である。地球で発生する様々な現象、また、様々な大規模な構造(大山脈、地溝帯等)がプレートテクトニクスを通じて理解できる図を作成すること。日本周辺に限って描いても良い。

解説

地球は複数のプレート(硬い板)に覆われており、それぞれのプレートが剛体的な運動をしている。それによって、テクトニクス(地球の構造形成運動)が規定される。」という考えのことをプレートテクトニクスと呼ぶ。プレートは,リソスフィアと呼ばれる粘性率が大きい固い厚さ数10km〜100km程度の岩盤で構成されており,プレートの下には,粘性率が小さい流動性が高い岩石で構成されているアセノスフィアが存在している。プレートは流動しやすさで定義されるために、結果として地殻とマントルの一部を含んでいる。火山や地震等の地表を変動させる様な現象は、主にプレートとプレートが接するプレート境界で発生している。

複数のプレートを分ける境界をプレート境界と呼ぶ。プレート境界は、新たなプレートを生産する「発散境界」と、プレートが消費される「収束境界」、プレートが生産と消費に関わることなく相互にすれちがう「横ずれ境界(トランスフォーム境界)」に分類する事ができる。

評価のポイント

巨大地震とそれに伴う現象が正しく描かれているか、東日本大震災で発生した現象を追うことができるか、被災者が見て元気がでるようになっているか。

収束境界には、日本海溝や南海トラフのような「沈み込み帯」と、ヒマラヤ山脈のような「大陸衝突帯」がある。沈み込み帯では、負の浮力が作用している海洋プレートが、密度の低い正の浮力が作用している大陸プレートの下に沈み込む。沈み込む海洋プレートの岩石中に含まれている大量の水が、高温・高圧下で脱水しマントルに水が供給されることによりマグマが作られ、沈み込み帯に沿って活発な火山活動が起こる。大陸衝突帯では、大陸プレートと大陸プレートが衝突している。ここで、大陸プレートには密度が軽く分厚い大陸地殻が載っているために、どちらかのプレートが沈み込むことは難しいため、二つのプレートが衝突し、巨大な山脈が形成される。