日本サイエンス・ビジュアリゼーション研究会
イベント
2016年
出題:
小林麻己人

専門領域:
医学医療系/分子発生生物学

イラスト制作:
山田侑希 / 神谷健 / 倉澤保 / 今井理紗子 / 中村匠実 / 梶野瑞貴 / 澤田ナオミ /
前川玲奈


Nrf2システムと健康食品(アート重視のイラスト)

目的:サイエンスカフェや研究室紹介に用いるスライド
対象:大学生及び一般市民

問題

Nrf2システムについて調べ、これがどう健康食品と関わるかを、聴衆に伝えられるようなイラストを作成する。大事なことは、ひと目見て理解できることであり、アート重視にする。ただし、具体的な事象(有害物質や健康食品成分、生体物質、組織・疾患など)のうち何かは、必ず描き込む。擬人化や比喩を駆使しても構わない。人物や食べ物、化学式の登場も積極的に行って欲しい。

解説

高齢化社会を迎え、がんも含めた生活習慣病の増加とその予防は、医学だけでなく社会的にも重大な問題である。生活習慣病の原因の一つとして、酸化ストレスや発がん物質による生体分子の損傷、これに続く、細胞や組織の構造・機能の障害が挙げられる。生活習慣(喫煙、飲食、など)の良し悪しが疾患につながることを知る学生・一般市民は多いと予想するが、それがどう糖尿病や循環器病の予防に結びつくかを理解する人は意外と少ない。Nrf2システムは、21世紀になってから知られるようになった生体防御システムで、我々の健康に重要な働きをしているだけでなく、予防医学を考える上で、大切なキーワードとなっている。健康食品と称するものの中には、Nrf2システムを活性化する化学物質成分が含まれている場合が多く、これを摂取することにより、毒性物質やストレスを減弱させることができる。例えば、寿司ネタのマグロには水銀が多量に含まれているが、ワサビや緑茶、ガリ(それぞれNrf2システムを活性化させる、イソチオシアネート、カテキン、ショウガオールを含む)を一緒に食べると、Nrf2システムが活性化され、毒性緩和してくれる。ここでは、学生・一般市民が、Nrf2システムがどういうもので、どう健康食品と結びつくのか、一発でみてわかるイラストの作成を目指す。知識習得は、ネット活用でも構わないが、より正しい知識入手のために、出題者への問い合わせも遠慮なく行うことを望む。

評価のポイント

1.Nrf2システムと健康食品の関連性が正しく伝わるか
2.人物、健康食品、化学物質、生体物質、など具体的なイラストが描かれているか
3.ひと目で全体像が理解できるスライドになっているか
4.聴衆が興味をひく魅力的でインパクトのあるイラストになっているか