日本サイエンス・ビジュアリゼーション研究会
イベント
2013年
出題:
三輪佳宏

専門領域:
医学医療系/蛍光イメージング・実験動物学

イラスト制作:
竹内 晶子/及川 総香/小森大輔/
西澤翔子/小野塚 丈太


マウス体内 in vivo ⾮侵襲近赤外蛍光2カラー3次元 イメージング
(解説重視のイラスト)

目的:研究費の申請書に⼊れる挿絵、講演でのスライド
対象:一般人~医学研究者(年齢 20~50 歳)

問題

次の文は、特定の臓器・組織・細胞にのみ近赤外の蛍光タンパク質を発現させることができる遺伝子操 作マウスについての説明文です。挿絵としてこの内容の理解を助ける分かりやすいイラストを描いてください。

解説

ヒトの病気のしくみの研究や、新しい薬の開発、再生医療などの新しい治療法の開発においては、さま ざまなモデル動物を使った研究が書かせません。なかでもマウスは、自由に遺伝子操作ができる技術(2007 年ノーベル医学生理学賞が最も早くから進歩してきたため、ヒトの病気とよく似た症状を示すモデルマウ スが多数開発されて研究されています。 これまではこうしたマウスを研究する際には、動物を殺しながら一部をサンプルとして取り出して分析 をする手法が中心でした。

しかしこういった方法ばかりでは、同じマウスの時間経過を調べたり、1匹1 匹のマウスの個体差について調べることは難しく、たくさんの動物を殺しても不正確なデータしか得られ ないこともよくありました。そこで私たちの研究室では、蛍光タンパク質や有機系低分子色素を用いて、 細胞内の様々な変化に応答して光り方が変化する分子スイッチ機能つきのプローブ開発を進めています。 またこれと並行して、民間企業と連携した新しい飼育方法の準備なども進めてきました。

今回、近赤外光を使って、マウスの体内を非侵襲で3次元イメージングする技術を確立しました。ほ乳 動物の体が不透明なのは、ヘムによって光が吸収されるからですが、650 nm より波長が長い近赤外光(〜 900 nm)はこの吸収を免れるため、ほ乳動物の体内に数センチメートルの深さまで浸透できることが知 られていました。

私たちはこの近赤外の中で2色の色素を同時に識別しながらイメージングできる手法を 確立しています。また、cre-loxP システムを応用することで、近赤外蛍光タンパク質である iRFP が特定 の臓器・組織・細胞でのみ発現するマウスを、多数シリーズで開発する。

評価のポイント

1.  課題の内容や出題者の意図を正確に表現しているか。
2.  一目見て内容が分かりやすくできているか。
3.  魅力的でインパクトのある絵になっているか。
4.  Cre-loxP システムを応用した iRFP-flox マウスが正確に表現できているか。
 


近赤外マウスクリニック(アート重視のイラスト)

目的:⾼校生以上の⼀般⼈や研究者向けに、研究の⽬的や概要を説明するスライド
対象:一般⼈~医学研究者(年齢 15~70 歳)  

問題

次の文は、特定の臓器・組織・細胞にのみ近赤外の蛍光タンパク質を発現させることができる遺伝子操 作マウスを用いて、マウスを殺したり傷つけたりすることなしに様々な疾患についての研究を可能にする「近赤外 マウスクリニック構想」についての説明文です。挿絵としてこの内容の理解を助け、様々な病気の解明や治療法 の開発が進む明るいイメージの分かりやすいイラストを描いてください。

解説

もう⼀つの「解説重視」課題の技術を応⽤用すると、マウスを傷つけることなしに、ヒトに似
た様々な疾患の状態を⾮非侵襲近⾚赤外蛍光イメージングによって調べることが可能になります。これによ り、疾患のしくみを明らかにする⻑⾧長期にわたる研究を⾏行行ったり、新しい治療療法がどのくらい効果がある かを、経過を追って解析することが可能になります。それぞれの疾患をイメージングするための遺伝子 操作マウスをたくさん開発することによって、様々な病気を克服するための研究を⾏行行うことが可能にな ります。このたくさんのマウス達のシリーズで開発するプロジェクトを「近⾚外マウスクリニック」と名付け推進します。  

評価のポイント

1. 課題の内容や出題者の意図を正確に表現しているか。
2. 一目見て内容が分かりやすくできているか。
3. 魅力的でインパクトのある絵になっているか。
4. 疾患の解明や治療法の開発につながる明るいイメージを伝えているか。