日本サイエンス・ビジュアリゼーション研究会
イベント
2012年1月

ウニのプルテウス幼生の進化プロセス

出題:
和田洋

専門領域:
生命環境系/動物進化発生学

イラスト制作:
天野千恵 / 守野孔明 / 今井英里奈 /
尾﨑拓磨 / 小松崎里恵 / 角田真季 /
福井周一 / 山倉有未 / 今実佐子 / 水本隆朗


目的:サイエンスカフェなどポスターや、導入に使われるようなスライド
対象:科学者および科学に興味のある一般の人、要するに専門家以外の人
サイズ : A4縦でも横でも

問題

磯などで目にするウニ(参考図1)は、棘皮動物と呼ばれるなかまの一つで、ヒトデなどと系統学的に近い関係にあります。ウニやヒトデなどの棘皮動物は、成体とは全く異なる形態の幼生を持っています。ウニは、プルテウス幼生と呼ばれる骨格の発達した幼生(参考図2)になりますが、ヒトデの幼生は骨を全く持たないビピンナリア幼生(参考図3)になります。棘皮動物の祖先の幼生は骨を持っていなかったと考えられていますので、ウニの祖先で幼生に骨が進化したと考えられます。棘皮動物はヒトデも含めて全ての種が成体では骨を持っています。ウニの幼生と成体の骨はほとんど同じ成分でできています。成体しか持っていなかった骨を、幼生でも作るようになって、ウニの幼生は骨を獲得し、プルテウス幼生に特有の形をもてるようになりました。ウニは、幼生期に骨を獲得することで、長い腕をもてるようになり、海水中のプランクトンを効率よく摂れるようになりました。このようなウニのプルテウス幼生の進化のプロセスをイラストで表現してみてください。

卵が幼生になり、成体になっていく、個体の成長(発生)という時間と、ヒトデのような祖先から、骨を持った幼生に進化する、進化という時間の、「絡み合い」をうまく表現してみてください。


参考図


参考図1
参考図2
参考図3