小池健人/奥村育枝/山本麻祐子
高橋香緒理/竹内晶子
植物の体細胞は分化全能性を持つ(解説重視のイラスト・アート重視のイラスト)
目的:講演会や出前講義でのイントロ(解説重視のイラスト)、
ポスター(アート重視のイラスト)
対象:高校生・一般市民
問題
植物には挿し木で増やせるものが多くあります。挿し木では、それまで無かった根が枝の細胞から作られます。また、茎を切ると先端ちかくから芽が出てきて伸び始めます。このように、それまで無かったところに生じる器官を不定根や不定芽など、不定器官と呼びます。
もっと凄い事に、植物では花も体を作っている普通の細胞である体細胞から誘導されます。花は受精してタネをつける生殖器官ですから、植物にとって次の世代を作るために大変重要な器官です。その花ですら、植物は不定器官のように生じてきます。
タネには、受精卵から発達した胚があります。胚が体の全ての部分の細胞へと分化するのは、動物でも植物でも同じです。胚の細胞が、体の全ての部分に分化できる能力を分化全能性と呼び、再生医療などでも注目されています。ただし、動物では細胞に操作をしない限り、分化全能性を持つのは受精卵だけです。そして受精卵の元となる卵子や精子になる細胞は、発生のごくごく早い時期(ようやく血管ができ始める頃)に運命を決定され、いわば保管されて体を作る事に直接的には参加しません。
しかし、植物では花も体細胞から作られる事から、体細胞が自分の体の全ての部分を作る能力である分化全能性を持っていることになります。
さらに、組織培養を通して、植物の体細胞が分化全能性を持つ事が証明されてきました。
この課題では、植物の体細胞が分化全能性を持つ事を、直感的に描いていてください。細胞の性質であり、芽とか根とか花とかができてくるという動きを伴うストーリーなので、正確なサイエンスとしては、このテキストのような文章でしか表現できない課題だと思いますし、私自身も絵は想像できませんが、ヨロシク。