日本サイエンス・ビジュアリゼーション研究会
イベント
2012年11月
出題:
三輪佳宏

専門領域:
医学医療系/蛍光イメージング・実験動物学

イラスト制作:
坂口翔太/鈴木萌/原田夏帆
石堂真菜実/仲谷明恵


マウス体内in vivo 非侵襲近赤外蛍光2カラー3次元イメージング
(解説重視のイラスト・アート重視のイラスト)

目的:研究費の申請書に入れる挿絵、講演でのスライド
対象:一般人、医学研究者(年齢20〜50 歳)

問題

次の文は脳の機能を解明する手法として作成する遺伝子導入マウスについての説明文です。挿絵としてこの内容の理解を助ける分かりやすいイラストを描いてください。
 ヒトの病気のしくみの研究や、新しい薬の開発、再生医療などの新しい治療法の開発においては、さまざまなモデル動物を使った研究が書かせません。なかでもマウスは、自由に遺伝子操作ができる技術(2007 年ノーベル医学生理学賞が最も早くから進歩してきたため、ヒトの病気とよく似た症状を示すモデルマウスが多数開発されて研究されています。
 これまではこうしたマウスを研究する際には、動物を殺しながら一部をサンプルとして取り出して分析をする手法が中心でした。しかしこういった方法ばかりでは、同じマウスの時間経過を調べたり、1匹1匹のマウスの個体差について調べることは難しく、たくさんの動物を殺しても不正確なデータしか得られないこともよくありました。そこで私たちの研究室では、蛍光タンパク質や有機系低分子色素を用いて、細胞内の様々な変化に応答して光り方が変化する分子スイッチ機能つきのプローブ開発を進めています。またこれと並行して、 民間企業と連携した新しい飼育方法の準備なども進めてきました。
 今回、近赤外光を使って、マウスの体内を非侵襲で3次元イメージングする技術を確立しました。ほ乳動物の体が不透明なのは、ヘムによって光が吸収されるからですが、650 nm より波長が長い近赤外光(~900 nm)はこの吸収を免れるため、ほ乳動物の体内に数センチメートルの深さまで浸透できることが知られていました。私たちはこの近赤外の中で2色の色素を同時に識別しながらイメージングできる手法を確立しています。


参考図