日本サイエンス・ビジュアリゼーション研究会
イベント
2011年

発生から考えた進化

出題:
和田洋 生命環境科系(教員)
安部貴晃 生物学類3年(学生)

専門領域:
動物系統進化学

イラスト制作:
磯野開 芸術専門学群1年
山本麻祐子 芸術専門学群1年

目的:学会において研究成果を概念的に伝える
対象:学生・一般読者(年齢:15歳以上)

問題

脊椎動物は背骨を持っている動物の総称で、私たちが動物園で見る動物のほとんどは脊椎動物です。また、これらの動物たちは実に多種多様な形態を示しています。しかし、脊椎動物はその生涯の中で一度だけ形態が類似する時期をみせます。それは咽頭胚と呼ばれる、発生における1ステージです。咽頭胚から個体ができるまでの観察からエルンスト・ヘッケルは「個体発生は進化の歴史を繰り返す」ということを考えました。今回の課題では、分かりやすさを前提に咽頭胚からの発生を絵で描き、個体発生からみた進化を表現してもらいました。


話し合った内容のポイント

咽頭胚における脊椎動物の類似性を軸に、そこから後でどのように脊椎動物の身体の形が変化していくのかについて話し合ました。また、咽頭胚以後の発生では咽頭胚をまるまる見ても、派生する部位は生物により異なるため分かりにくくなってしまうため、ある部位に焦点を当てました。他に、身体の形と生息環境の結びつきについても考えました。


アイデアスケッチ

一人は進化の全体図を、もう一人は体の一部の進化に着目したイラストのアイデアを考えていきました。

山本(左図)

エルンストの図を参考にしながらも、それ以上に見やすい配置を考えました。また、なるべく単純な線を使うようにしました。

磯野(右図)

いかにして手を強調するか、ということを考えました。


完成作品

イラスト制作:
山本麻祐子 芸術専門学群1年

・一般の方が見ても興味を持てるような、親しみやすいイラストレーションを心がけました。
・ヘッケルの図をトレースせずに制作した点で苦労した。

イラスト制作:
磯野開 芸術専門学群1年

複合的で複雑なエルンスト・ヘッケルの進化論を、手に絞ることでわかりやすく表現しました。