日本サイエンス・ビジュアリゼーション研究会
イベント
2011年

副作用のないガン治療を達成するナノ粒子<1>

出題:
長崎幸夫 数理物質系(教員)
角谷 省吾 物性分子工学専攻DC2年(学生)

専門領域:
物性分子工学

イラスト制作:
奥村育枝 芸術専門学群1年
栗原藍 芸術専門学群1年
原田夏帆 芸術専門学群1年

目的:研究室ホームページや発表資料で使用する研究概要の為の図の作成
対象:国内外の一般人~科学バイオ分野の研究者、その研究室を志望する大学生
サイズ : A4サイズ(縦・横自由)1~2枚程度。カラー表示。縮小も考慮にいれ作成。

問題

放射線治療に代わる次世代のガン治療として、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)が近年注目を集めています。この治療法は、中性子線とホウ素原子が反応することで生成されるα線(放射線)およびリチウムによってガンを治療するものです。副作用が弱く治療後の経過も良いことから、現在臨床試験が盛んに行われております。私たちの研究では、ガン組織に選択的にホウ素原子を集めることのできるナノ粒 子を開発しその治療効果を確認しました。本課題では、本研究を視覚的に説明できる図の作成を目的としました。


話し合った内容のポイント

本研究は化学、工学、医学の複合領域であり研究自体が複雑なので、そもそも何 を描くべきか話し合いました。その結果、①ナノ粒子がガンに集まる様子を描く、 ②中性子とホウ素の反応によりガン組織が殺傷される様子を描く、③抽象的な概 念のようなものを描く、以上3点が候補として挙げられ、最終的に何を描くのか は各個人の自由としました。


アイデアスケッチ

アイデアスケッチでは、サイエンス系の方々に、自分が飲み込んだ情報が相手の意図した通りのものであるかどうかを確かめてもらえるように、自分が受けた情報からのイメージを模式的に描くよう心がけました。その後ブラッシュアップを図り、より精細な内容をどうやったらわかりやすいイラストに出来るかを考えながら下描きをしました。


完成作品

イラスト制作:
奥村育枝 芸術専門学群1年

工夫したところは、中性子・ホウ素・ナノ粒子など科学用語の数々にできるだけ親しみやすいような見た目を与えた点です。 戦隊ものをイメージしたキャラクターを制作し、癌を退治するというイメージがより強化される事を狙いとしました。 苦労したのは、実験のどこに焦点をあててイラスト化するかという点と、爆発の描写です。

イラスト制作:
栗原藍 芸術専門学群1年

工夫したのは、目に留まるにはどうしたらよいか考え具象的なイメージを盛り込んだ点です。 またイラスト化する対象や、それが決定してからも具体的なイラストの案が思い浮かばず苦労しました。 反省点として、もう少し硬いイメージでも良かったかもしれないと完成してから思いました。

イラスト制作:
原田夏帆 芸術専門学群1年

当初のアイデアスケッチのカラーを元にして、PCで着色しました。どうしてもこのような話にはグロテスクな点もあるので、なるべく柔らかい雰囲気が出るように、ユルい感じのキャラクター、手がき感を残した線を意識し、それをいかせるようなタッチの着色を心がけました。