国際シンポジウム
「世界遺産保護と大学の役割」の開催について
会期:2003年10月27、28、29日
場所:建築会館ホール(港区芝5-26-20)
主催:筑波大学世界遺産研究教育プログラム準備委員会(代表:日高健一郎)
趣旨
文化と自然の保全・保護が叫ばれて久しい。世界遺産条約とその登録物件への関心も高まり、地球上各地の多様な「遺産」は映像、書籍、講演等でたびたび紹介されるようになった。しかし一方で、観光や開発、紛争による人為的破壊、災害・汚染と危機管理、保護・保存技術とその教育普及など、世界遺産およびそれに準ずる文化・自然遺産を囲む状況や環境には、知識と意識のグローバル化に伴うさまざまな問題や課題が内外で盛んに指摘されている。特に、人間の営為と歴史を留める文化遺産の場合、集団や国家内部での意味と価値、その外部における意味と価値、さらに国際社会におけるその意味と価値が時に矛盾、対立することもある。遺産の保護は、その破壊、滅失に先立ってなされなければならないが、それには、個々の遺産が有する顕著な普遍的価値を人類共通の資産として認識しあい、遺産を共有することで国家や民族を越えて地球の上で共存する「人類」への帰属意識を高めることが重要である。本シンポジウムでは、この理念を基盤とする関連学問の融合と連携を「世界遺産学」として位置付ける。
世界遺産学を担う高度研究・教育機関としての大学・大学院は、人類が共有すべき文化・自然遺産を巡る多様な問題と課題にどのように取り組み、どのように貢献すべきであろうか。より有意義で実効ある解決を図るためには、関連する多様な学問の有機的な連携が必要である。事例報告や技術紹介に留まることの多かった従来の世界遺産関連会議で欠落していた学際的総合性への展望と大学教育の視点をも含め、関連する専門領域の有機的連携によって、文化・自然遺産の保護・保全にとっての長期的展望を現状とその分析、理念、教育、研究の総合的側面から得ようとするのが本シンポジウムの趣旨である。
実施主体である筑波大学は、研究志向の総合大学として、多領域・多分野にまたがる専門研究者と教育環境を擁し、分野間の協力・連携を柔軟かつ機動的に推進できる環境を整えている。文化・自然遺産の保全は環境科学、応用地質学、建築学、保存科学、地球科学、社会科学等々広範囲の学際性を必要としており、しかも世界遺産に関して提起されるさまざまな課題はこれら各分野での学術的意義も高い。こうした広域性、多様性に対応しうる筑波大学は、国内外の関連機関との連携実績により、本シンポジウムの開催と「世界遺産研究・教育プログラム」の実現によって、関係官庁・機関と協力体制を組みながら文化・自然遺産の保全に大きく貢献できると考える。
会議概要
以下の6セッションで構成する。
セッション1:世界遺産の歴史、現在、展望
セッション2:世界遺産:危機と再生
セッション3:世界遺産:ニーズアセスメント
セッション4:世界遺産:人材育成プログラム
セッション5:世界遺産:大学の役割
セッション6:世界遺産に込められた意味「心の中に築く平和の砦」
海外からの招聘者10名、国内の専門家13名、計23名が個別・グループ別に講演、話題提供を行い、最終3日目に円卓討議を設ける。講演は、保存技術・保存科学の体系化、ブランデンブルグ大学の世界遺産プログラムの紹介を中心に、ユネスコや各国における文化・自然遺産保護に関連する理念、技術、教育、研究の現状と課題、国際協力、世界遺産学構築を論点とする。
文化庁の協力を得て、筑波大学で設置準備を進めている大学院「世界遺産学専攻」開設への一環として開催される国際シンポジウムであり、文化、自然両分野の世界遺産保全に貢献しうる多様な分野の研究者が参加する。
文化・自然遺産の保存に関わる政府部局、自治体、ユネスコおよび大使館文化担当関係者、大学、保存関係研究所、財団、NGO、NPO等関係者、学生、一般を対象として、参加者150名程度を想定。ロビーでの関連展示も行う。期間中の見学会実施については検討中。会議参加者には「予稿集」を準備、配布し、終了後、講演内容、質疑応答等を報告書として出版する。
「世界遺産保護と大学の役割」
会議次第
■主催 筑波大学
■期間 2003年10月27〜29日 (3日間)
■会場 建築会館ホール (港区芝5-26-20 日本建築学会内)
アクセス
■申し込み 別紙の通り必要事項を記入の上、FAXかE-mailにてお申し込み下さい。
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27日(月) |
10:30 - 12:30 (2時間) |
9:30 受付開始 10:30-10:40
開会の辞:沢田 正昭 10:40‐11:00
主催者挨拶: 北原 保雄 [筑波大学長] 11:00‐11:40
:池坊 保子 [文部科学大臣政務官] (わが国の文化財保護政策と大学教育への期待) セッション1. 世界遺産の歴史、現在、展望 11:40‐11:45 イントロダクション:セッション議長:沢田 正昭 11:45‐12:30
基調講演:アゼディン・ビシャウシ
[ユネスコ文化担当]
(世界遺産条約:理想から実践へ) |
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13:30−17:00 (3時間半) |
セッション2. 世界遺産:危機と再生 13:30‐13:40 イントロダクション:セッション議長:日高健一郎 13:40‐14:10 (1) 石澤 良昭 (アンコール遺跡の再生とアジアの知の 創造:技術系修復と美意識系修復) 14:10‐14:40 (2) 関根
久雄 (世界自然遺産と住民参加の開発) 14:40-15:10
(3) 市原 富士夫 (遺産を生かした地域の再生) 15:10‐15:30 休憩
(20分) 15:30‐16:00 (4)
斎藤 英俊 (ブルーシールド:文化遺産の危機管理) 16:00‐16:30 (5)
カルロ・ブラージ (モスタルの石造アーチ橋再建) 16:30‐17:00 セッション1、2の総括 |
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18:00− |
レセプション |
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28日(火) |
9:30 - 12:30 (3時間) |
セッション3. 世界遺産:ニーズアセスメント 9:30‐9:40 イントロダクション:セッション議長:日高 健一郎 9:40‐10:10
(6) 中川 武 (アジアの文化財保護と日本の技術協力) 10:10‐10:40 (7)
パリ・ウィジェラトネ (スリランカにおける保存トレーニングの現状) 10:40-11:00 休憩
(20分) 11:00-11:30 (8) リチャード・エンゲルハート (ユネスコアジアセンターの機能と展望) 11:30‐12:00
(9) 宗田 好史 (市民の視点に立った都市保存の課題:京都市の事例) 12:00‐12:30 (10)
三宅 理一 (北東アジアの都市の保存と課題) |
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13:30−17:00 (3時間半) |
セッション4. 世界遺産:人材育成プログラム 13:30‐13:40 イントロダクション:セッション議長:沢田 正昭 13:40‐14:10 (11) マリエル・リション (ユネスコフォーラムによる大学ネットワーク) 14:10‐14:40 (12) 稲葉 信子
(アジアにおける人材育成システムの構築と展望) 14:40-15:00 休憩 (20分) 15:00‐15:30 (13)
沢田 正昭 (日中韓遺産保護ネットワーク) 15:30‐16:00 (14)
サミール・ガブル (資格としての世界遺産ディプロマ) 16:00‐16:30 (15)ギョルン・アルン (トルコにおける世界遺産教育とトレーニング) 16:30‐17:00 セッション3、4の総括 |
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29日(水) |
9:30-12:30 (3時間) |
セッション5. 世界遺産:大学の役割 9:30‐9:40 イントロダクション:セッション議長:日高 健一郎 9:40‐10:10 (16) マリー・テレーズ・アルバート (コトブスの修士課程における世界遺産教育) 10:10‐10:40 (17) レオ・シュミット
(ドイツ・ヨーロッパにおける文化財 保存:研究と教育における協力体制) 10:40‐11:00 休憩
(20分) 11:00‐11:30 (18) ウィリアム・ローガン
(ユネスコ講座による教育ネットワークの構築) 11:30‐12:00 (19)
ファーガス・オゴールマン (世界遺産マネージメント専攻の構築) 12:00-12:30 (20)
日高 健一郎 (筑波大学世界遺産専攻の可能性) |
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13:30−15:15 (1時間45分) |
セッション6. 世界遺産に込められた意味 「心の中に築く平和の砦」 13:30−15:00 イントロダクション:セッション議長:日高 健一郎 総合討議 斎藤 英俊 マリー・テレーズ・アルバート 益田 兼房 マリエル・リション 岡田 保良 ウィリアム・ローガン 沢田 正昭 ギョルン・アルン 日高 健一郎 15:00−15:15
閉会の辞:日高 健一郎 15:15
閉会 |
■スタッフ:小笠原憲四郎、小場瀬令二、金田千秋、八木春生、黒田乃生、平山英明、丹藤勝次、宮本靖子、辻庄司、バルバラ・ガッリ、岩出まゆ、ジャハンヴィD.ナンダン、久世啓司、渡辺俊、吉野邦彦、上北恭史、豊田謙一、糸賀克美、酒井健太郎、小島有加、枝朋彦、大嶽敏也、高野征宣、井上博文、小林乙哉、千葉真弓、安食なぎさ、中村優理、高橋陽之介、杉谷香代子、遠藤啓介