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カリキュラム

芸術専門学群書コース

書概論
書のもつ芸術性やその歴史を概観し、書に関する基本的な知識を習得することを目的とします。まず、書と他の芸術との比較を行い、芸術の中での書の位置・関係を見て、書の定義を確認します。書の基本的な概念を押さえた後、書体の変化を歴史の流れとともに見て書体に関する知識を身につけたり、文房四宝や作品形式などについての学習を行います。また、名筆と謳われる古典作品の鑑賞を行い、書者や年代、形式、書風についても学びます。

書実習基礎Ⅰ
楷書・行書の名跡を臨書し、実作における基礎的能力の育成を目指します。楷書では主に初唐の三大家を、行書では米フツ(くさかんむり+市)の蜀素帖を臨書します。各古典の筆法・結構法をただ学ぶだけではなく、教員による添削を通して、自らが善し悪しを判断し改善することのできる能力を身につけます。また、作品制作への応用も視野に入れ、章法(作品構成)も重点的に学びます。

書鑑賞論
中国近現代の書評・書論を講読します(2004年は、民国・王潜剛の『清人書評』を扱っています)。あらかじめ、学生が文章の書き下しと内容把握を行い、講義でその内容の確認と、関連事項の学習を行います。時に、関係する書人の遺品を鑑賞しながら行われます。漢文資料の読解能力を高めること、鑑賞する力を身につけることを、主な目的とします。

中国書法史
殷から中華民国までの中国書法の歴史を概観します。1・2学期では、書法史を王朝ごとに区分し、順に講義形式で学びます。書法の変遷や、書に関する状況の変化をはじめとして、政治・思想・文学の諸事情、当該時代の書に関する先行研究、個々の時代の書を見つめる際に重要な視点を学習します。時には、歴史的文献や資料の講読も交えて行われます。3学期には、1・2学期の書法史の学習を生かして、研究発表を行います。それまでに受けた講義の内容の一部や、学生が興味を感じたものを研究のテーマに据え、個人で調査・研究するものです。研究結果は受講者同士で発表し、質疑応答を交わして、研究の更なる深化や、研究手法の確認・習得を図ります。

書道科教育法
高等学校の書道教育に関する基本的な事項について理解を深め、高校書道教育の実践的な能力を身に付けることを目的とします。授業の内容は、「教材の検討」と、「指導計画の作成」の2つを主な柱とします。「教材の検討」では、先に書道教育の目的や指導すべき事柄を確認し、各種検定教科書の分析を行います。重点化された内容や説明の手法、ねらいなどを見出して、その効果や良し悪しを考慮し、高校生の理解を促すことのできる単元内容を考えます。「指導計画の作成」では、実際に教壇に立った際に重要となる指導法や指導計画について学習します。指導法・指導計画の前例に対して、様々な観点から批判的に検討を行い、その検討結果を踏まえて実際に指導計画を作成します。作成後は受講者どうしで発表、討議し、より効果的な指導を考えていきます。

書実習A・B
全学群を対象とする授業で、小中学校の書写の内容を専門的に扱います。この授業は2限続きで行い、前半と後半に分かれます。前半1限は講義を行い、書写教材に対する理解を深めていきます。1学期では小学書写について、2学期は中学書写について、3学期では書の分野について学びます。書写における用語や、古典についての知識を習得していきます。後半1限では、前半の授業で触れた教材・古典を書いてみます。実際に書写することで、教壇に立ったときに教えるべき内容を再確認します。芸術の書ではなく書写として学ぶため、教授法について熟思することができる貴重な時間となっています。

書実習基礎Ⅱ
1~3学期を通して、中国の古典を臨書することによって、漢字書法の基本的な技法を学ぶことを目的とます。授業は基本的に、指定された古典を半紙に臨書し、教員に添削を受ける、という流れで行います。添削の際には、結構(字の構成)・章法(作品構成)、筆法について説明を受けます。時には、半紙作品だけではなく、条幅作品の添削や、説明を受けることもあります。2004年度では、1年を通して北魏時代の「張猛龍碑」を扱い、北魏時代の名跡の共通点を学習しました。2・3学期では、「張猛龍碑」と並行して、別の古典を選択して学びました。

書実習仮名制作A・B
平安時代の名筆、とりわけ、仮名の美しさの典型を示す古筆について学習します。高野切・寸松庵色紙・継色紙などの古筆を用い、来歴・特徴や、仮名書法の基本的な技法を学びます。授業では、実際に古筆の複製を鑑賞したり、同じ筆者による古筆の確認を行ったりします。これらの過程を通して、平安時代の古筆に対する教養を深め、鑑賞力を養っていきます。また、実技では、前に挙げた古筆を中心に原寸臨書と拡大臨書を行います。最終的には、古筆の現存部分をもとに倣書(まねて書くこと)し、欠損箇所の復元にも努めます。

書実習漢字制作A・B
漢字作品の制作において不可欠な技術を身に付けることと、鑑賞力を養うことを目的とします。古典作品を範本に用いて半紙に手習いをし、教員がその添削を行います。技術の向上のため、授業外での手習いも自主的に行っています。範本とする古典は年度によって変わります。なお、2005年では、大盂鼎(篆書)、書譜(草書)、曹全碑(隷書)より1点を、1年間通して習いました。

専門語学(中国語)
中国書法史にかかわる中国語の文献・図書を講読していきます。A・B・Cは交互に開講されています。それぞれ、学習内容が違いますので、一例として以下にCの内容を紹介します。1学期では、一般的な中国語のテキストを用いて、基本的な中国語の文法、発音を学びます。2学期では、書に関する中国語の文献を講読します。専門的な知識を養うとともに、中国語の長文を読む力を身に付け、将来の論文執筆への布石とします。3学期では、中国の古文である漢文を扱います。古典作品に添えられた題跋を読み、その内容を精読します。訳すことはもちろんのこと、関連する文献を自分で調べ、その成果を演習形式で発表します。文章は短いものもありますが、白文を一から読んでいくため簡単ではありません。しかしこの練習は、卒業論文を書くとき、おおもとの資料となる古典を見ていく上で、大変役に立つものです。

書学方法論
中国書法全般にわたる研究方法について、特に文献や工具書(目録や索引の本)などの活用法に主眼を置いて行われる授業です。1学期は、伝記類の紹介がメインになっています。例えば、正史の列伝、地方史の列伝、伝状類、碑誌類、稗史類中の伝記、尺牘などが紹介されます。2学期からは一学期に紹介された伝記類を抜粋講読しながら研究を進める上での諸問題について検討を行い、理解を深めます。使用するテキストは、民国・馬宗霍の『書林藻鑑』『書林記事』などです。これらを読むことで、漢文読解力の向上にもつながります。

日本書道史
1年間を通じて講義形式で授業が進められます。学期ごとに設定されたテーマ(例:仮名の成立と発展、写経、三筆)を中心に学び、1年間で日本書道史を概観します。実際の授業では折にふれて歴史資料を用い、その扱い方も学びながら、時代背景、その他の状況についても併せて学習します。また、表具の形式等、鑑賞の際必要となる基本的な知識についても学びます。授業で扱う名跡については、複製の鑑賞も行い、その全体像、現在の伝存状況についての理解を深めます。同時に巻子等の扱い方についても複製を用いて学んでいきます。また、講義を通して、先行研究の紹介も適宜行われ、現在までの研究活動がどのように進んでいるのかを知ることもでき、個人の調査、研究へと発展させることが可能となっています。

書実習仮名制作C
4年次では、今まで学習してきたことを基にして、卒業研究(卒業制作)の計画・制作を行います。以前の授業で扱った高野切・寸松庵色紙・継色紙はもちろん、授業で扱っていない古筆にも挑戦することができます。臨書や倣書をしたり、欠失部分の復元を施したり、また、表具を書写当時の原装に再現したりなど、それまでに培った知識を存分に発揮できます。個々の必要に応じて、古筆の来歴・現存状況などの調査や、料紙の探索、字典の作成を行います。

書実習漢字制作C
3年次までの学習内容を基に、条幅の制作を行います。また、卒業制作の提出も控えているため、その制作計画を立てたり、実際に書いたりします。条幅制作・卒業制作の双方を、同時並行で進めることができます。卒業制作においては、大作を書いたり、挑戦したことのない表現を追求したり、原典に忠実な臨書をしたりなど、様々なことに挑むことができます。その制作で行き詰ったときには、材料などについて教員に助言を仰いだり、添削をお願いすることができます。

学外演習
書コースでは、隔年で学外演習が行われます。この授業では、美術館・博物館に所蔵される書跡を実見することで、書についての理解を更に深めます。演習旅行の日程の計画は、教員の助言の下、学生が主体的に行っています。主な訪問先は、京都府・大阪府です。2006年度には、陽明文庫・藤井有鄰館・大阪市立美術館・大和文化館・京都国立博物館を訪問しました。特に、陽明文庫・藤井有鄰館・大阪市立美術館では、書の遺品を特別に見せていただくことができ、研究・実作両面において大変有益なものとなりました。関西地方は他にも優れた蔵品をもつ施設が多く、演習前後の休日を利用して自主的に回って、名筆を多く鑑賞することも出来ました。また、文房具に関しても伝統のある地なので、筆匠のもとを訪れた学生もいます。これらの体験は、個々の学生にとって以降の学書の励みとなりました。

卒業研究
書コースでは、論文と制作の両方を、卒業の要件としています。卒業論文は、4年間の学習の成果として、中国書法史・日本書道史・文字学・制作論・書写書道教育法等について研究し、論文としてまとめるものです。授業や自主的な調べ物を通して、興味を感じたことをテーマに据え、先行研究の検討をしたり、新たな知見を提示したりします。研究する際には指導教員を定め、助言をもらいながら進めていきます。卒業制作では、漢字・仮名・篆刻の中から臨書または模刻を2点、その他に創作を1点、合計3点が課せられます。漢字・仮名・篆刻どれかひとつだけに偏ることなく制作を課することによって、多様な視点から実技・書学を考える力を養うことができます。学習の成果より、古筆の復元が行われ、現存しない古筆の原型を想起することができる作品も出されます。卒業制作展で使用されるつくば美術館の展示室は高さ5.2メートルあり、大きな作品を展示することが可能です。なお、この卒業制作展は、芸術専門学群全ての専攻が出品します。その内、優秀な作品には、筑波大学芸術賞(2点)・芸術専門学群長賞(若干数)が与えられます。

博士前期課程書領域

書論特講・書鑑賞論特講
書論特講は、書鑑賞論特講と入れ替わりに、隔年開講されます。論文を執筆するにあたって、“書”を扱う論文はいかにあるべきかを、“書”の分野に限らず、他の分野の論文なども含めて講読しながら、考察を深めていくものです。演習形式をとっており、取り上げる論文に関わる調査など、授業外での自習が不可欠です。 2004年度の書鑑賞論特講は、「中国書画の鑑定」をテーマに進められています。中国の書画鑑定に関わる著述を講読し、書画鑑定がどのような方法で行われているかを把握した上で、真偽の疑われる歴代の作品について、自ら改めて鑑定を試みます。先行研究の調査や中国文献の講読など、これも授業外での準備が不可欠です。

仮名制作A・B
学群では、高野切第一種・第三種、寸松庵色紙、継色紙などを中心に学びますが、大学院では学群で取り扱われなかった古筆について学びます。その選定は年度により異なりますが、近年では、高野切第二種、十五番歌合、升色紙などが取り上げられています。授業は、古筆学的調査、原寸大臨書、現存しない部分の倣書復元、大字による臨書・倣書という形で進められています。

古文字書法A・B
金文の臨書を中心とする授業です。作品制作にあたっては、中国の古文字への理解が不可欠であるため、基本的には『金文常用字典』(陳初生編 陝西人民出版社 1987)・『字統』(白川静著)・『金文編』(容庚編)などを用い、各文字の字義、その起源について理解を深めた上で、制作に入ります。時に中国の近現代の文字学に関わる文献にも目を通しますので、中国語を必修とします。

隷・楷漢字制作/行・草漢字制作
行草漢字制作と篆隷漢字制作は、それぞれ隔年開講で行われます。テキストは固定されていませんが、二玄社の法書選を中心に随時選ばれます。半紙だけでなく、大きなサイズの作品制作も行い、臨書から創作への模索をはかるものです。基本的には、授業外で作品を制作し、授業中に先生から批評をいただくという形で進められています。

博士後期課程書領域

博士後期課程の授業には、特別演習が設けられ、自己の課題に即した研究発表が行われます。


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